入山(いりやま)
 〜静寂な「滝山連峰」の最高峰〜標高1,626m〜
 中信(松本市)と東信(小県郡青木村)との境界上に大きく横たわる、いわゆる「滝山連峰」の中の一峰。別掲の二ツ石峰の北にあり、連峰縦走路からは若干西側に外れ、松本市(旧四賀村)側に入った地点に位置する。一見、あまり興味を惹かれることのない山名が災いしてか、案外注目されることが少なそうに見受けられるが、実は滝山連峰中の最高峰という重要な地位を占める山。
 この山に登るには、小県郡青木村の十観山から、滝山〜御鷹山〜入山〜二ツ石峰〜保福寺峠、とつながる縦走路が開設されており、これをたどることができればベストであろうが、やや長丁場になる上、アプローチと帰りの「足」の問題もあるので、筆者のように貧乏暇なしの人間には不向きなルート。また、保福寺峠から二ツ石峰経由で往復という手も考えられるが、アップダウンのある道の往復というのも何となく億劫だ。
 そこで、ここでは筆者が利用した、旧四賀村側から直接入山に取り付くコースを紹介する。同山の西側山腹に食い入っている林道を利用してアプローチし、同山の頂上から南西に派生する稜線に取り付いて登頂するもので、これだと駐車地点から1時間少々という意外な短時間での登頂が可能。林道はほぼ真西の「小胡桃」集落から入ることも、また南西の「保福寺」集落から入ることもできるが、筆者が実際に通過してみた限りでは、前者は道幅も狭く、路面もかなりダートなので、車を傷付けたくない向きには避けた方が無難だろう。林道は途中いくつか分岐があるので、地形図を参照しながら上がるとよい。そして地形図上、入山から南西に派生する稜線の末端で終点となる林道を上がればいいのだが、筆者の訪問時点では、最後の分岐から先はかなり路面状態が悪かったので、オフロード車ででもない限り、進入は避けた方がよいかも知れない。ちなみに前述の1時間少々という参考コースタイムは、ここから歩いた場合の話だ。
 林道終点からは、公社造林の赤い標識のあるへんから、明瞭な踏跡が上に向かって延びている。造林地だけに植林が多いのは当然だが、所によっては白樺林もみられ、そこそこ亜高山的雰囲気も味わえる道だ。展望は樹林に遮られて、あまり良くはないが、それでも時折樹間から南方に二ツ石峰や、また美ヶ原方面などが見渡せる。やがて顕著なピークに登り着くが、そこは入山頂上のすぐ南西にある1,610mピークで、真の頂上はさらに奥にあるので注意。頂上には三角点標石と手製の山名標示板があり、周囲は相変わらず樹林に囲まれ展望は不良だが、静かな山を愛する向きには大いに好感が持てる場所。なお、頂上から滝山連峰縦走路との合流点までは、ほんの250mほどの距離。

 ← 滝山連峰の入山遠望(右のピーク/旧四賀村の会田集落付近より)

【緯度】361959 【経度】1380347