一夜山(いちやさん/飯森城址)
 〜一夜にして落城したのが名の由来とか〜標高851m〜
 白馬村の飯森集落のすぐ西にある目立たない山。この山、戸隠連峰の南の外れにある山と同名だが、名の由来は大分違い… 南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)によれば、この山には戦国時代に飯森城という山城があったが、弘治年間に甲斐の武田氏が侵攻した際、一夜にして陥落したという不名誉な事実によるのだとか。
 地形図を見ると、この山、さながら衝立のごとく北東から南西にかけて、ほぼ一直線の山稜をなしており、登山道も当然これに沿って付けられている。地形図上この部分だけ見れば結構気になるものだが、この山にとって不幸なことには、よりにもよって南西側の登山口のすぐ鼻先が、北アルプス五竜岳への玄関口であるテレキャビン駅になっており… これでは、余程の物好きか歴史ファンででもない限り、すぐ近くの五竜岳の方に気を取られて、その手前にあるちっぽけな小丘など、見向きもされなくても仕方あるまい。
 登るには、前述の通り北東側と南西側の双方から可能で、縦断・往復のいずれを採っても所要時間はせいぜい1時間もあれば十分という手軽な山。ちなみに筆者の場合は、たまたま家族が運転する車という「足」があったので、北東側から入り、南西側に抜けてみた。いささか中途半端な位置にある三角点を経由し、さして汗もかかぬうちに祠のある城址に達する。そのすぐ先に馬屋址があるが、そのあたりが最高点。

 ← 一夜山を望む(山麓の飯森集落付近より)

【緯度】363957 【経度】1375025