伊深城山(いぶかじょうやま/伊深城址)
 〜岡田冠者源親義の築城と伝えられる〜標高916m〜
 松本市の北東部にある、戦国時代の山城址(伊深城址)の山。山容的には一見地味な山ながら、その何か意味あり気な山名に想いを巡らしつつ、比較的保存状態の良好な山城の遺構の数々に接することができる、案外興味深い里山歩きが楽しめるエリア。伊深城は松本市設置の現地案内板によれば、伝承では治承4年(1180年)に岡田冠者源親義の築城といわれるが、実際には室町中期に井深氏が築いたものらしいとあるので、「伊」と「井」の違いがあるとはいえ、山名はおそらく築城者の姓に由来しているのだろう。
 この山の登り口は松本市の伊深集落付近にある「若宮八幡社」。同神社は室町時代に井深氏の後の伊深城主の後庁氏が勧請したといい(注:一説にはもっと古く白鳳期まで遡るともいわれる)、正にこの山への起点に相応しい。伊深城址へは同神社の向かって右手から良く整備された道が上がっており、要所ごとに標識もしっかり設置されているので、全く心配はない。途中、慶弘寺公園への道と分かれて左へ進み、明瞭な郭や石垣の遺構を眺めつつ行くと、ほどなく背後を低い土塁に囲まれた、いかにも山城の本丸址らしい頂上に達する。ここまで若宮八幡社から徒歩片道40分ほど。頂上には手前に城址の説明看板、奥に「石尊大権現」の石碑が建ち、周囲は樹木に囲まれ、展望的には樹間に松本市街方面などが望まれる程度という、里山らしく静かで落ち着いた雰囲気の場所。

 ← 伊深城山方面を望む(山麓の伊深集落付近より)

【緯度】361714 【経度】1375839