長興寺山(ちょうこうじやま)
 〜山麓の長興寺は木曽義仲公御母堂の菩提寺〜標高954m〜
 塩尻市にある、一見地味ながら歴史性豊かで興味深い山域。東の山麓には旧中山道が通じ、山名にもなっている「長興寺」は信濃の英傑・木曽義仲公の御母堂小枝御前の菩提寺、また南に隣接する妙義山には中世の山城址(妙義山城址)があるし、その山麓には県史跡「釜井庵」(注:江戸中期の庵の遺構で、そのあたりは中世の館址であるという。)や「本洗馬歴史の里資料館」がある… といった具合。単に「里山」ファンならずとも、歴史探訪という意味でも十分楽しめるエリアであろう。
 この山に訪れるには、塩尻市街地から国道19号線を南下し、「桔梗ヶ原」交差点を右折、県道292号線伝いに「洗馬小学校」あたりまで進み、後は登り口を物色する。筆者の場合、そのまま小学校前を通過して直進、「観音寺随道」なる狭いトンネルを抜けたすぐ先の「安曇野線1号線 No.10」と記載された送電線巡視路の標示の脇に駐車し、以後は徒歩で送電線巡視路伝いに登るルートを採ったが、あえてトンネルを通過せずとも、東山麓の「釜井庵」あたりから直接、妙義山城址経由で登る道もあるようだ。
 ここでは筆者のたどったルートについて記す。駐車場所から送電線巡視路伝いに登りつめ、鞍部に出たら右(南)へと稜線をたどる。途中、例の「No.10」送電線鉄塔のある地点を通過するが、そのあたりは木々が伐り払われていて展望が良く、晴れていれば東に南アルプスの連嶺や鉢伏山など、また北西側には、北アルプス穂高岳や常念岳が前衛の山の背後にわずかに顔を見せているのが望まれる。頂上はそこから少々稜線伝いに上がった所にあるが、例によって三角点標石があるだけの、典型的な里山の頂といった趣の場所だ。駐車場所から頂上までは約30分前後もみておけばよい。
 帰途は往路をそのまま戻る。下山後は、折角だから時間が許す限り、上述した東麓の「長興寺」(注:この寺は上述の通り、木曽義仲公の御母堂小枝御前の菩提寺である他、庭園は江戸時代中期末頃の様式の池泉庭園で、塩尻市の名勝に指定されている。)等にも参考までに立ち寄っていくとよいだろう。

 ← 木曽義仲公御母堂の菩提寺「長興寺」(背後の山は長興寺山あたり)

【緯度】360618 【経度】1375417