四阿屋山(あずまやさん/筑北)
 〜ブナ林が広がる「筑北三山」の一峰〜標高1,387m〜
 北信エリアに収録した冠着山及び聖山と並ぶ「筑北三山」の一峰。(注:同じ中信エリアに全く同名の山があり紛らわしいため、見出しには混同を避ける意味で山名の後に所在地域名を付して紹介している。なお、東信エリアの菅平高原の上の「四阿山」とも紛らわしいが、こちらは「四阿」の後に「屋」と付くので区別できる。) 頂上近くには「四阿屋神社」があり、山麓の人々の信仰の厚さを示している。その周囲の、筑北村(旧坂井村側)の天然記念物というブナ林も見応えあり。
 この山への登山道はいくつかあるが、筆者は初訪問時には頂上からほぼ真南の、今は筑北村となった旧本城村側の「金山沢」からのルートから登った。採石場の近くに登山口があるが、入口が判りにくいので注意。ちなみに筆者は当時何人かの地元の人に道を聞いたが、なぜか誰一人として正確な道を教えてくれた者はなく、おかげで、最初は「金山沢」をつめて道なき道を上方に見える林道上に這い上がり、そこからしばらく林道をたどって、ようやく頂上から南に延びる尾根の末端に本来の登山道を見出すという、思わぬアルバイトを余儀なくされた。ちなみに筆者はこれと前後した時分、この近辺の山々において、何度か似たような目に遭ったため、さてはこの地域の人々は「よそ者」を山菜泥棒か何かとみなし、道を知っていてもわざと教えないのではないかと勘ぐったりしたものだが… どうもそれは筆者の思い過ごしだったようで、その後、初訪問から15年後にこの山に再訪した際には、最近の里山見直しの機運の高まりゆえか、大分状況が変わっていて、現地にも結構案内標識の類が目につくようになっていたので大変嬉しく思った。また再訪時には先の「金山沢」からのルートとは別の「刈谷沢登山口」からのルートより家族連れで訪れてみたが、結果的にはこのルートの方が、途中「四阿屋山展望台」なる明るい一角から、北の聖山あたりから西の北アルプス方面にかけての展望に非常に優れているという点で、先の「金山沢」からのルートよりも数段爽快な山歩きが楽しめた。のみならず、その際にたまたま頂上で出会った方と話をしたら、何とその方、件の「展望台」に2004年に設置された山岳展望図の案内板を製作された方で(!)、その展望図の原稿の写しを頂戴するという、思いがけず嬉しい山での「出会い」にも恵まれ… かくて、それまで筆者が抱いていた一種の「偏見」も、今やすっかり払拭された次第。
 以上、「金山沢」「刈谷沢」いずれのルートからも、登山道さえつかまえれば、後はせいぜい1時間半もあれば登頂できる。

 ← 筑北の四阿屋山遠望(冠着山頂上より)

【緯度】362507 【経度】1380313