尼子山(あまこやま)
 〜旧美麻村にある変わった名前の寂峰〜標高1,044m〜
 蕎麦で有名な旧美麻村(現:大町市)の中、オリンピック道路から少し南に外れたあたりに鎮座する、変わった名前の山。近くの権現山(別掲)と同様、旧美麻村から頂上近くまで林道が駆け上がっているので、それを利用すれば、ほんの15〜20分程度で登頂できるという手軽な山だが、権現山が位置的に北アルプス後立山連峰などの好展望台であるのに比べ、こちら尼子山は樹林に覆われ展望もなく、また地形図上でも単なる標高点に過ぎず、当然三角点もないという、きわめて地味な山。
 それゆえ、筆者のような物好きはともかく、決して万人受けする山というわけではなく、また訪れるにも、この山だけの単独目標ではどうも物足りないゆえ、(こう言うと尼子山に失礼な気もするが)所用の空き時間とか、どこか別の山に出掛けた帰り等、ついでの寄り道程度の訪問に適している山であろう。
 もっとも、すぐ近くに美麻の小中学校があること等から、地元の人々にとっては、案外馴染みの山なのかも知れない。登るには、その小中学校の前から、さらに奥へと延びる林道を単純にたどればよい。ただ少々進むと、じきに学校配水池の前に出るが、筆者の訪問時点では、そのすぐ先の路面が異常にぬかるんでいる箇所があったり、また、さらに先で太い倒木が完全に林道を塞いでいる箇所があったりしたので、車は配水池のすぐ下のスペースに駐め、以後は徒歩で林道をたどるのが無難だろう。ここに限らず、林道というのはどうも単調で歩いてもあまり面白くないものだが、それでも駐車場所から頂上まではさしたる距離でもないし、前述の通り、ほんの15〜20分程度の歩行で頂上に達するので、山登りなのだから多少は歩いた方がよいと割り切るべきだろう。頂上は林道の登りが尽き、平坦になったあたりに、さながら墳丘のごとく盛り上がっている。前述の通り展望もなく、また標石の類もない、地味で静かな場所。なお、頂上部には一見山城の郭址とおぼしき地形もみられるが、『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』や『長野縣町村誌 南信篇』等には特に該当する記事はない。単なる自然地形なのだろうか?

 ← 尼子山頂上付近(頂上直下に通じる林道より)

【緯度】363423 【経度】1375350