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【山行リスト】
薄暮の山第6弾〜長野市・三登山
頂上は知る人ぞ知る山上の楽園〜焼額山
高山植物と蝶の宝庫〜東館山
「望月少年自然の家」にて
北上山地の名峰〜五葉山
明るい笹原の山稜を散策〜三峰山
眺望と静寂の山稜漫歩〜鷲ケ峰
鹿が憩う長閑な情景〜奈良公園・若草山
田淵行男記念館訪問と光城山散歩
快適な秋の山歩き〜湯ノ丸山
立峠と唐鳥屋城址
軽井沢付近・和美峠東の愛宕山
軽井沢付近・和美峠南東の大山
軽井沢付近・入山峠南西の1,169m峰
薄暮の山第6弾〜長野市・三登山
梅雨が明けた途端に打ち続く猛暑。8/3もその例にもれず、あまりの暑さに耐えかね、平日ながら仕事の後に、どこでもいいから、ちょっと山に登って涼んでこようと思い立つ。そこで私は、勤務時間が終わると、極力早めに職場を出て自車に乗り込んだ。
今日の目的地は、長野市内若槻の三登山。この山、長野市周辺の里山群の中にあっては、標高923mと比較的高い部類に属するのだが、恵那山を平たくつぶしたみたいな凡庸な山容ゆえに、あまり登行欲がわかず、十数年前に坂中峠付近から薮を漕いで一度訪れたのみ。
それが今年の7/14の薄暮、たまたまこの山の南西山腹のへんにある「若槻山城址」に訪れた際、予想以上に道や標識が整備されているのに驚かされ、しかも道は山城址からさらに三登山方面に向けて上がっていたので、是非近日中に再訪してみたいと思っていたところだった。
かくて期待と共に「坂中口」に到着。と… 案の定、道や標識は十数年前とは比較にならないほど整備されており、駐車スペースの一角には、何と長野市などで作成した「三登山トレッキングコース」のパンフレットまで設置されているではないか! しかも早速踏み込んでみた登山道たるや、余所見をしながら歩いてもつまづかないほど良好な整備状況! 当然、今回は頂上に立派な標識も設置されており、登頂の実感は十数年前とはまるで比較にならず。樹林で周囲の展望がきかないのは相変わらずながら、それでも十数年前の、あの薮のきつい状況に比べたら、きわめて快適な森林浴コースに見事に変貌をとげており… 私は、自身のこの山への評価を今回一変できたことを、心底から嬉しく思った。
頂上は知る人ぞ知る山上の楽園〜焼額山
8/5、家族と共に志賀高原の焼額山に訪問。この山、一般には単にスキーの山程度にしか思われていないようだが、実は頂上に知る人ぞ知る、山ノ内町天然記念物の「稚児池湿原」という、正に山上の楽園とでも例えるに相応しい、珠玉のように美しい湿原があるのだ。私は以前一度訪れた際、晴天下にその情景を目の当たりにして大いに感激したもので、これは是非、自分の家族にも見せてやりたいものだと思ってきたのだが、登山口から湿原までの所要時間は2時間余で、まだ幼少の子供同伴では少々長くてキツいかな… と思い、これまで再訪できずにいた。
ところが… たまたま8/5の朝、早起きして新聞の地方欄を見ていると、何とこの焼額山で、今年から夏山ゴンドラを営業しているという! これなら幼少の子供同伴でも、容易にあの美しい景観を見せてやることができる、と思い、にわかに家族に呼びかけ訪問することに決定。
かくて、我々は早速「焼額山スキー場」に車を走らせ、ゴンドラに乗り込んで山上へ。そこから件の「稚児池湿原」までは、ノンビリ歩いて15分ほど。途中、蝶を追いかけたりしながら、針葉樹林をくぐり抜けると… そこには、以前私が一人で訪れて目にした際と同様、快晴の空の下に、空の青さをそのままに映した稚児池の美しき水面が…! 懐かしい情景。印象的にも以前とほとんど変わりなく、私自身が感無量だったことは言うまでもないが、この情景、我が子たちの脳裡には、果たしてどのように刻みつけられたことであろうか?
天候が良すぎて、標高2,000mの頂上でさえ、結構陽射しは強く… 我々は汗ばみつつ、この「山上の楽園」をゆっくりと周回した。
高山植物と蝶の宝庫〜東館山
先の焼額山への訪問後、我々は高天原のホテルで昼食を摂ったが、その後もまだ時間的には十分ということで、折角来たのだからと目と鼻の先の東館山に上がってみることに。手段的には高天原から夏山リフト利用という手もあったが、何しろ幼少の子供同伴ゆえ、リフトで途中で飛び降りられては大事なので、あえて発哺温泉側に若干下り、ゴンドラリフトを利用して頂上駅へ。
この山、駅から出てすぐの所が高山植物園になっていて、コマクサなどがあり結構見応えあり。また付近には東館山頂上である旨を示す大看板もあるが、真の頂上はそこからさらに若干歩いた先の高みにある。我々はゆっくりそこに向かったが、途中、道脇の花々には、ヒメアカタテハ、ギンボシヒョウモン、コヒョウモン、キアゲハなど、何種類もの蝶たちが今を盛りと舞い競い、そして頂上近くからは、前景のニッコウキスゲの向こうに聳える優しい山容の岩菅山など… ここはここで、先刻の焼額山とは、また違った雰囲気の山上の楽園といった雰囲気で大変、嬉しかった。
「望月少年自然の家」にて
8月上旬、所用で佐久市(旧望月町)の蓼科山麓「望月少年自然の家」に訪れる機会があった。
同家への訪問は、今年で3度目になるが、例によって素晴らしい「家」周辺の自然。以下に御紹介する画像は、所用の合間に目についた、それら自然の情景の中の一部。もっとも今年は、例年に比べて気候的に暑いせいか、花がピークを過ぎてしまっていたのが残念だったが…
それでもなお、所要の合間の片手間でさえ、これだけの画像をいとも簡単にゲットできるあたりが、実に嬉しい所だ。
これからも、機会があれば何度でも訪れたい。そんなことを思わせる数少ない公共施設の中の一つである。
北上山地の名峰〜五葉山
ここ数年、我が家においては夏季休暇を利用した東北旅行が恒例になっており、今年は主として柳田國男の『遠野物語』の舞台である岩手県遠野地方を探訪したが、その機会を利用し、8/19、東北の北上山地にある名峰、五葉山に訪問。ただ、家族旅行の途中だけに、あまり家族に迷惑もかけられないとあって、慌しいのは覚悟の上、未明に宿を発ち、可及的速やかに登頂の上、午前9時半頃を目途に舞い戻るという計画。
ところが… アプローチで思わぬ濃霧に遭遇し、登山口着が30分以上も遅れ、早くも第一の誤算。あわてて登山靴を着け登行開始、3合目「賽の河原」、4合目「畳石」と、合目の標識を目安に高度を上げていき、さらに急登を突破、9合目上部で「しゃくなげ荘」に達した頃には霧も晴れかかった。これは快適な山行かと思いきや… そこから頂上付近の「日枝神社」まで踏跡の両側に茂る笹の露で、気がつくと下半身がびしょ濡れと化していたという第二の誤算(!)。それでも「日枝神社」に一礼の上、森林限界の頂稜上をたどり、立派な標柱のある頂上三角点に達して、まずは一安心、自分としては比較的快調なペースで来たつもりで時計を見ると… 何と、当初予定より1時間遅れ(!)の7時半という第三の誤算。まずい、こりゃとても9時半までには戻れん、家族に連絡せねばとて携帯電話を取り出すと、無情にも「圏外」という第四の誤算。やむなく連絡は下山後と諦め、さらに最高点の「日ノ出岩」まで歩いて写真撮影中、うっかり足を滑らせ尻餅をついた拍子に、右足ふくらはぎがつるという災難(!)、おかげで以後は早駆け不能になるという第五の誤算。ただでさえ予定より遅れているのに… それでもその頃には大分周囲の雲も取り払われ、早池峰方面等が展望できたことは幸い。結局、私が家族の待つ遠野に戻ったのは1時間半遅れの11時頃だったが(!)、その間、家族は適当に遠野の街を散策してくれていた。
明るい笹原の山稜を散策〜三峰山
9/2、ほぼ一月ぶりの家族登山に、中山道和田峠の近くにある「三峰山」を選定。この山、私としては10年以上も前に一度訪れたきり、これまで再訪の機会がなかったところであるが、そこは一面明るい笹原で周囲を遮るものもない、展望良好の優しい高原といったイメージが強く、ここなら私のみならず、幼少の子供を含む家族にも歩き易そうだし、一月ぶりの家族同伴の目的地には最適であると思われたことから、今回の目的地に選定。
と… まさに当初の狙い通りの山歩きに。「三峰展望台」の駐車場から、ビーナスラインを横断して、明るい笹原の山稜上に這い上がり、後は文字通りビーナスの身体のように美しいラインを描く山稜をノンビリとたどって、ほんの30分ほどで登頂。頂上周辺にはキアゲハやアキアカネなどが長閑に舞い、足元にはハクサンフウロの小さく清楚なピンク色の花々などがみられ、そしてもちろん周囲の展望は360度! それも、最初のうちやや曇り加減だった空が、次第に青空の割合を増していくにしたがい、間近い霧ケ峰や美ヶ原などの眺望はもとより、北アルプス槍・穂高連峰や、蓼科山、八ヶ岳連峰、さらには八ヶ岳のすぐ右手の彼方の雲海上に、かの麗峰富士山の特徴的な台形状の頂上部まで…!
まさに家族登山にうってつけの、明るく開放的な雰囲気を堪能した次第。当然、子供たちも機嫌よく頂上周辺を駆け回り… しかも驚いたことには、いつも山というと「疲れた」等弱音を吐くことの多い長男までが、「今日はもう一つ山に行きたい」などと言い出し(!)、にわかに次の目的地として近くの鷲ケ峰への訪問を決めるなど、私にとってはまた別の意味で感激できた山での一時だった。
眺望と静寂の山稜漫歩〜鷲ケ峰
先の三峰山での長男の希望から、にわかに次なる目的地に霧ケ峰の一角にある「鷲ケ峰」を選定し訪問。この山、有名な「八島湿原」の脇にある山で、湿原の駐車場からノンビリ上がっても1時間もかからず頂上に達することができ、しかも頂上からの展望は先の三峰山と同様に360度の大観、その上、すぐ近くの車山の混雑ぶりに比べたら、目立った案内標識もないせいか、案外訪れる人も少なく、気分の良い山歩きが楽しめるという、まさに家族登山にはうってつけの知る人ぞ知る得難いエリア。
ビーナスラインの無料開放以来、この方面に訪れる観光客が急増しているというが、この日も八島湿原の駐車場は大混雑、交通整理の係員がてんてこ舞いしている中をどうにか駐車し、あわただしく登り始めたが、わずか歩くとすぐ、先刻の駐車場周辺の騒がしさがウソみたいに静寂な雰囲気に。それでも途中、数人の下山中の登山者とすれ違ったものの、上部の稜線上に飛び出てからは、周辺はまるで我々家族に貸し切り同然! 前述の通り周囲の眺めは格別で、ことに霧ケ峰の最高峰・車山と、その直下に広大に拡がる八島湿原の美しい池塘、さらに、それらの背後に延々と連なるのは、先刻の三峰山の際には雲がかかって今一つだった八ヶ岳連峰の雄大な眺め!
家族連れの山歩きだと、大体の場合、何か思わぬハプニングがあるものだが、今回は珍しく何事もなく、その上、終始穏やかな天候に恵まれ、全くもって来た甲斐があったと思う山歩きの一時だった。
鹿が憩う長閑な情景〜奈良公園・若草山
9/16〜18の三連休は、初日が長男の運動会でふさがり、また17〜18日も所用で近畿地方に出掛けることになっていた上に、ちょうどそこを狙い撃ちするかのごとく、台風13号が直撃の構えを見せていたことから、折角の連休だが山はダメだろうと半ば諦めていた。が…
17日は奈良市内に泊、翌18日に外を見ると、意外にも晴れ間が見えているので、気象情報を確認すると、台風は近畿地方より左にそれ、日本海側に抜けていったと判明。となると… 次の瞬間、我が胸中には、たちまちある種の衝動が、例によって強烈に湧き上がった。
で… 早速私は同行者の同意を得て少し時間をもらい、にわかに奈良公園の一部をなす「若草山」に訪問してみることに。
この山、標高はわずか342mながら、この地方では結構人気のあるハイキングの山らしく、実際、それを裏付けるかのように、平成13年度に開催されたインターネット博覧会(インパク)の長野県館「山のおくりもの」の企画の一つ「私の好きな日本の山ベスト100」の投票結果でも、第18位と上位に入っている。山名も有名だが、その割に案外私の周りで登ったという話を聞かないので、この際、参考までに訪れてみたくなった次第。
山焼きで有名な山だけに、樹木の少ない緑の草原のなだらかな山容は、山麓からも一目瞭然。当然、頂上付近は遮るものもない360度の展望で、その一角には人慣れした奈良公園の鹿たちが長閑に憩っていた。頂上部は清少納言の『枕草子』に記されている「うぐいすの陵」であるという前方後円墳「鶯塚古墳」であり、最高点の後円部には一応「山」らしく三角点標石が埋設されていた。
田淵行男記念館訪問と光城山散歩
この週末も前週に引き続き、9/23(土)は次男と長女の幼稚園の運動会、また9/24(日)は彼岸の墓参と、どうもこのところ所用が多く、こと「山」に関しては巡り合わせが悪くなっているが、9/24は午後ががら空きだったので、家族同伴で安曇野市の「田淵行男記念館」に出掛けてみることに(たまたま先日、日本山岳会信濃支部から同館で「日本山岳会信濃支部60年のあゆみ展」が開催されている旨の案内があったため)。
田淵行男記念館は、その存在はかなり前から知っていながら、実際に訪問したのは実は今回が全く初めてだったのだが、館内に展示された魅惑的な構図や題材の写真の数々は、さすがにしばし時間の経過を忘れさせられてしまうほどのものがあり、また特別展の「日本山岳会信濃支部60年のあゆみ展」も、60年の時の経過の重さを改めて自覚させられ、私としても今後なお一層、山への精進を微力ながら継続しなければと思わされた次第であるが、同館の外にも、田淵先生の記念館の傍らに相応しく、華麗な蝶たちが幾羽となく乱舞している様に目を奪われた。中でも私としては今回でやっと2度目の撮影機会になる、ツマグロヒョウモン(♂)の姿が印象的。
なお、同館訪問後もまだ若干時間に余裕があったため、折角だから多少なりとも「山」の気分を味わおうと、近くにある「光城山」に上がる。駐車後、ほんの10分も歩けば頂上という手軽な山ながら、その名から判る通り戦国時代の城址の山であり、またそれだけに良好な山麓の俯瞰。にわか思い付き程度の家族同伴での里山散歩にしては、なかなか良い気分をしばし味わった後、帰途についた。
快適な秋の山歩き〜湯ノ丸山
9/30、家族全員で「湯の丸高原」の盟主・湯ノ丸山に訪問。私はこのところ、どうも公私共に多忙な日々が続いていて、本当はこの日も当初は職場で残務整理をするつもりだったのだが、朝起きると、思いのほか良好な空模様。これを逃す手はないと、残務整理は10/1の日曜日に先延ばしにし、にわかにこの山に訪問してみることとした次第。
早速「湯の丸高原」こと地蔵峠に車を走らせ、峠の売店で昼食を摂ってから、ノンビリ歩き出す。出発時間的には一般より若干遅めながら、天候は良いし、暑からず寒からず、幼少の子供を含む家族同伴の山歩きには、これ以上はないと思われるほどの絶好のコンディション。キャンプ場を突っ切り、少し樹林を上がった先の分岐を右へ。鐘がある稜線上から左に、ゆっくり登り切ると、岩の敷き詰められた広大な頂上に到着。
頂上で、まず目に飛び込むのは、やはり間近く迫る烏帽子岳の秀麗な山容。私は同山には昨年の「子供の日」に、長男・次男と一緒に登頂しており、その際の情景が脳裡によみがえる。また後を振り返ると、籠ノ登山から黒斑山、浅間山方面の展望が良好。そして、それら展望もさることながら、足元に目をやると、頂上付近に群落をなすイワインチンの鮮やかな黄色の花々をはじめ、藍色のオヤマリンドウ、空色のマツムシソウなどの可憐な花々の色彩に目を奪われる。当然、子供たちも御機嫌の様子、やはり来てよかったと密かに胸を撫で下ろす。
しばし頂上の憩いを楽しんだ後、往路を下山。年間ではやはり、この時季の山が一番いいと思われる、終始快適な山歩きだった。
立峠と唐鳥屋城址
10/7、期待した3連休の初日は、朝から雨滴が舞っていたが、それでも折角の休日ゆえ、家族でドライブに出発、何となく車を走らせていくうち、いつしか旧本城村(現:筑北村)にさしかかった。と、ふと前方に、頂上部分がえらくきれいに伐り払われた峰がある。何だろう? その何やら意味あり気なたたずまいに、私はにわかに謎解きをしてみたくなった。そこで家族(特に女房)を拝み倒して「ちょっと偵察」に行く同意を得、その方向に車を走らせてみると、そのうち「立峠」方面という標識出現。立峠といえば、長野自動車道の「立峠トンネル」の上の峠らしいが、実は私はまだそこに訪れたことがない。となると、そんなに時間もかからなそうだし、ちょっと行ってみたい。フロントにはまだ霧のような雨滴が散っているが、この程度なら、雨傘をさしていけそうなので、「立峠の石畳道」の標識のあるへんに家族を待たせておき、早足に歩き始めた。
路傍のトリカブトの花々を愛でつつ行き、途中、お地蔵様が1体安置された「地蔵原」を右手に見て、難なく立峠の茶屋跡に到着。ここは背後に聖山方面の眺めがよく開け、明るい雰囲気の、まさに往時の善光寺街道の要衝らしい場所。そこで標識を見ると、左に稜線上をたどる踏跡の方に「唐鳥屋城跡」なる表示あり。これで、先刻の峰が、どうもこの城址のことらしいと判明。早速そちらにも足を延ばしてみることに。
ほどなく到着した頂上の城址は、下から見えた通り、きれいに伐り払われ展望良好。北に先刻の聖山方面はもとより、東に今年の5/3に訪問した大洞山。またすぐ南に屏風のごとく連なるのは会田の名峰・虚空蔵山。さらに南西方面には遠く松本平の一角まで…
いかにも要衝の護りらしく、素晴らしい眺望! 私は思いがけず、良き山を発見できた喜びと共に、しばし周囲を雄大な気分で見回した。
軽井沢付近・和美峠東の愛宕山
10/8、三連休の中日。この日も前日に引き続き、家族でドライブにでも出ようかと思っていたところ… 折悪しく、次女が風邪で高熱を発しダウン。また、他の子供たちも家にいたいというので、今日は久々に私単独で時間をもらい、山に出掛けることに。
となると、めったにない単独山行の機会、最大限の成果を上げて帰りたいので、目的地は初訪問で通常ガイドブックにも載っていない、状況により薮漕ぎも余儀なくされそうな山とした上、できれば同日中に複数の山にも訪れたいことから、にわかに地図上で目的地を物色した結果、小粒ながら気になる山々が点在する、上信国境の軽井沢付近に向かうことにする。
この時点で、私の念頭にあったのは、去る7/30に日暮山に訪れた際、妙義連峰の前衛に結構端整な山容を見せていた「大山」と、そのすぐ北の「愛宕山」。地形図上、両山の取付点とおぼしき「和美峠」に向けて車を走らせ、11時少し前に同峠付近に到達。と… たまたま愛宕山の山腹に向けて、別荘地への道路が上っているのが目についたので、まずは愛宕山から訪問することとし、件の道路を最上部まで進入。そこから徒歩で急傾斜面を直上の稜線上へと強引に這い上がる。稜線上には明瞭な踏跡あり、頂上はそこから右へわずか登った所。
頂上は樹林に囲まれ展望不良、かろうじて物見山方面が樹間に望まれた程度。他は三角点標石と山名標示板があるだけという、地味で静寂な場所だったが、しかし寂峰趣味の私には十分堪能できる頂上だった。
軽井沢付近・和美峠南東の大山
愛宕山に登頂後、私はまた和美峠付近に舞い戻り、次いで「大山」への登り口を物色。が… さすがにマイナーな山らしく、標識はおろか、テープの目印もないときた。この山、上信越自動車道を長野県から上州方面に向かう場合、「日暮山トンネル」の次に通過する「大山トンネル」の上の山なのだが、その割に案外注目されていない模様。やむなく、ある時点で登山道探索は諦め、薮漕ぎ覚悟で林中へ突入するしかないと腹をくくる。そこで、地形図上で検討の結果、和美の別荘地への入口付近から、群馬県の横川方面に少し下りたへんの道路脇の、車2〜3台程度駐車可能のわずかなスペースのある地点に車を駐め、そこから右手の樹林に上がって、後は稜線伝いに真南へ頂上を目指して登ることに決す。
一歩樹林に踏み込んでみると、意外、下草はきわめて薄く、歩行にほとんど支障なし。しかも稜線に取り付くと明瞭な踏跡があり、嬉しい誤算。こんな山でも案外登る人がいるものなのだ。端整な容姿の山らしく、道は登るにしたがって猛烈な急登となり、おまけに先日の悪天候で湿ったとみえて地表が不安定で、最後には一歩登って半歩ずり落ちるような鬱陶しい登りとなったが、どうにか根性で登り切って登頂。
そこは、先刻の愛宕山同様、樹林に囲まれ展望不良の頂上だったが、私には去る7/30に日暮山に訪れた際、妙義連峰の前衛にその姿を目にして以来、ずっと心の隅に引っ掛かっていた山だけに、登頂の満足感にはひとしおのものあり。また、足元にわずかに目についたリンドウの可憐な花々も、そろそろ枯れ加減になりつつある秋の山中にあっては、きわめて強烈な印象を私の脳裡に刻み付けてくれた。
軽井沢付近・入山峠南西の1,169m峰
引き続き10/8の山行記録。既に愛宕山と大山に登頂し、私はこの日の当初の目的は達していたが、時計を見ると、まだ多少時間がある。で… 折角だから、ついでにもう一つ、どこか別の山に訪れてみようと考える。そこで、にわかに地形図上で物色の結果、全く事前知識はないが、距離的に近い、碓氷バイパスの上信国境「入山峠」の南西にある、地図上は無名の1,169.1m三角点峰に訪れてみることにする。
「入山峠」の駐車スペースから、フェンスが切れた所の、何か道路管理用らしき機器が設置してある脇から樹林内に踏み込み、山稜上を高い方へと向けて登行。なお、先の愛宕山や入山の際にもそうだったが、この日は空が明るい割には、やたらと強い風が山稜上を吹き抜け肌寒く(注:後で知ったが、この日は全国的に荒れ模様で、各地で遭難が生じた)、また明るいうちに頂上を往復してしまいたくもあったゆえ、意識的に若干ペースを上げて登行、おかげで身体が温まり全身に新たな汗が噴出した頃、急登を登り切って稜線上に到達。ここで、頂上は本来右に進んだ所なのだが、この時は左の方が高そうに見えたため、ついつい左に進んでしまった。が… いくら進んでも三角点はないし、そのうち道が下り始めたので、さすがにおかしいと気が付き、地形図を引っ張り出して検討の結果、誤りと判明したため引き返し、先刻の稜線まで戻り、後は右へ、巨大な露岩を、最初のは左から、次のは右より巻き、最後に末端あたりで左へ、踏跡に従って露岩上に這い登ると、そこに四等三角点の標示プレートを見出した。
そして… そこは、とても地図上無名の峰とは信じられないほど、明るい展望の峰。眼下の軽井沢はもとより、その背景の浅間山方面、さらに先刻訪れた大山方面まで…! 夕刻の陽光に薄赤く染まりつつある周囲の情景を、私は時間の許す限り眺め回した。