山行記録帳(2017)
〜Yamazaki's Photo Diary 2017〜


 【山行・自然観察リスト】
 2017年最初の山〜皆神山 日だまりの軽い散策〜弘法山 春空の下、開放感満点〜聖山
 久しぶりに訪問するも…〜老ノ倉山 所用のついでに訪問〜鷹落山 開放感は志賀高原随一〜坊主山
 意外な好スポット〜乳山三角点と乳山牧場散策


 2017年最初の山〜皆神山
 1/1、この日は、またまた例によって、私にとって毎年元日恒例の、長野市松代「皆神山」に訪問。
 この山、巷では「山」というよりは、パワースポットあるいはミステリースポットとしての方が知名度が高く、実際、頂上付近に訪れても、一帯は「皆神神社」の境内になっていて、今ひとつ「山」という感じがしないのではあるが… それでもこう毎年訪れていると、どうも訪れないことには落ち着かない。
 それに、毎年訪れているうちに、同じ場所でも、年によって違う「表情」を見せてくれるのが面白い。例えば今年の場合、例年だと結氷していたり、雪が浮いていたりする皆神神社境内の「ニッコウクロサンショウウオ産卵池」が、今年は全く鏡のような水面を見せていたし、また今年は例年より少し遅い時間(16時少し前)に訪れたとあって、皆神神社や熊野出速雄神社の社殿前に拝礼した後、皆神山最高点の富士浅間神社祠前に上がった頃には、既に陽も傾きかけていて、祠の裏手からは、夕日に薄赤く染まった飯縄山や戸隠連峰の姿が望まれ、なかなか神々しく、いかにも「神域」といった雰囲気を味わうことができた。
 そして… (これは毎年思うことだが)どうか今年一年が平穏な年でありますように… さらに願わくは、私にとって今年の「山」が、少なくとも昨年よりは活発なものになりますように… そんなことを願うとはなしに願った後、帰途についた。







 日だまりの軽い散策〜弘法山
 今年もはや3月。元旦に「今年の山が昨年より活発に…」などと願ってはみたものの、現実はそう甘くなく… なかなか時間が取れないうちに時間を徒過してしまったが、3/4、別の所用で松本市に訪れたついでに、せめて少しでも「山」の気分を… と思い「弘法山」に訪問。
 この山、「弘法山古墳」という、古墳の円丘の上が「頂上」になっているという変わった「山」で、里から近く標高も高くないが、頂上から西方の、北アルプスを中心とした眺めは雄大で、手軽だからといって、あなどれない魅力のあふれるスポットゆえ、私はこれまで何度か訪れているが、今回も以前の訪問時と同様、展望の素晴らしさを短時間ながら満喫できた次第。







 春空の下、開放感満点〜聖山
 5月を過ぎ、日中は少し汗ばむような時期になると、まるで習慣のように訪れてみたくなる山がある。「聖山」は、私にとって実にそんな山の一つであり… 今年の5/14にも、相変わらず公私共に多忙な日々の中、ちょっと気晴らしにと、どこへ行くとははなしに出掛けて車を走らせているうち、ごく自然に立ち寄ることになったのは、例によってこの山であった。
 私にとって何がこの山の魅力かといえば、第一には頂上一帯の「明るさ」だ。もちろん、北アルプスとかの大展望も得られれば、それに越したことはないが、仮に曇って展望が今一つの時でも、どこか不思議な「明るさ」がある山で… それは私が思うに、あたかも、日本神話に出てくる「高天原」もかくやというような、何ともいえない長閑さ… こんなふうに感じるのは、私だけであろうか? いつ訪れても可憐な舞を見せてくれる蝶たちの存在とか、あるいは山麓の麻績あたりに、古くは東山道が通じていたという歴史からくる先入観などが、そんなふうに思わせるだけかもしれないが…







 久しぶりに訪問するも…〜老ノ倉山
 長年にわたって方々の山を歩き回り、近所に新しく登りたい山が少なくなってくると、必然的に以前訪れた山への再訪が多くなってくるが、そんな中でも、何の脈絡もなく、ただ突然「久方振りにあそこに行ってみるか!」と思いつくケースがある。6/3に訪れた「老ノ倉山」は正にその類で、ふと、以前この山から、間近に「御飯岳」の鋭利な姿を望んだことが思い出され… 家からほど近いところにある山でもあり、よし、ちょっと行ってみるか、と出掛けた次第。ところが…
 いざ登り口に駐車し、熊笹をかきわけて踏跡をたどり出した途端、まるで待っていたかのように御飯岳の頂上付近に雲が湧き起こり始め、中腹から見た同山は既に頂上部が雲の中に隠れている有様。やや、これはしたり… と先を急ぎ、一汗かいて、ようやく老ノ倉山の狭いピークの上に立った時には、何と周囲は展望どころか、すっかり雲に覆われて、ただ白一色の世界… ああ、残念! 折角、周囲の眺めを楽しみに上がって来たものを。
 もっともその分、途中の山稜の原始色あふれる雰囲気が一層、身にしみた… などと言えば、いささか負け惜しみが過ぎようか? ともあれ、久々に訪れた山の印象は、それなりにまたフレッシュなものではあったが。







 所用のついでに訪問〜鷹落山
 公私共に多忙な日々が続く中、思いついたら手軽に短時間で立ち寄れる山を、私はいつしか、意図せずして幾つも胸の内にリスト化して刻み込んでしまった。6/4、所用のついでに訪れた「鷹落山」もその類。たとえハードな「山登り」に見向きもされない山であっても、長時間の山行ができにくい状況の下にあっては、かけがえのない「宝物」のような山といえる。
 しかも、訪れる都度、異なった「顔」を見せてくれるのが、また「山」というもの。この日は、山名を刻んだ碑の上にトンボが翅を休めている様子の長閑さとか、頂上直下に咲き誇るヤマザクラの花とかが、何かとせわしなく落ち着かない私の心身には、この上ない慰めとなった。
 それにしても… このあわただしい日々は、一体いつ一段落するのだろう? このまま、この一年を無為に過ごしたくないが…






 開放感は志賀高原随一〜坊主山
 「その時期になると、習慣的に訪れてみたくなる山」あるいは「胸の内にリスト化している、思いついたら手軽に短時間で立ち寄れる山」というのが、最近の私にとっての「山」のキーワードと化してしまっているが、7月に入り、訪れてみたくなったのが、志賀高原は草津白根山の近くにある「坊主山」。この山、5月に訪れた「聖山」と同様、とにかく「明るい」のが魅力の山だ。ハイマツに覆われた広い頂上部から周囲を見回す開放感は、あるいは志賀高原随一ではなかろうか? しかも、半ば観光地化している志賀高原の中にあって、この山は知る人ぞ知る、かなりマイナーな山の部類とあって、いつ訪れても登山者はまばらで静かな雰囲気なのもいい。
 もっとも、静かであるということは、同時に野生動物にとっても天国ということで… 私は昨年、思いがけずここで熊に出遭ってしまったものであるが(!)、今回は熊は出ず、代りに美しい純白のシャクナゲの花が、周囲の展望と併せて私の目を楽しませてくれた。







 意外な好スポット〜乳山三角点と乳山牧場散策
 私のように長年山に上り下りしてきても、まだまだ身近にありながら気がつかない、意外な好スポットがあるものである。8/5に訪れた、破風岳の西側山腹になだらかに拡がる「乳山牧場」の一角は、私にとって、実にそんな「意外な好スポット」の類であった。
 そもそもこの日は、別に山に登ることは殊更狙いでなく、最初は蝶など自然観察が目的であったのだが… たまたま車で乗り付けた、「乳山牧場」入口の駐車場の脇に「乳山(1706メートル)三角点登山口」なるプレートが白樺の幹にくくりつけてあるのが目につき、にわかにそこに訪れてみたくなった、というのが本当のところ。それで、車を駐めるなり、取るものも取りあえず登り始めてしまったわけだが… いざ登ってみたら、存外良好な雰囲気に、いつしか蝶のことなど二の次になってしまっていた。
 一汗かいた頃合いに達した三角点は、露岩のある明るい一角で、西方に善光寺平の俯瞰が良好だが、「頂上」というよりは、稜線上の一角といった雰囲気の場所だ。が、その先に続く踏み跡をさらにたどってみても、三角点以上にパッとする雰囲気の場所が他に見当たらなかったので、一般には三角点地点を「乳山」の頂上とみなしてよいのではあるまいか。後はむしろ、牧場の草原の長閑さと、その中に咲き誇る野山の花の美しさを楽しみながら散策しつつ、周回して駐車場所に戻れるのが、このコースの魅力だろう。しかもコースの中途には、神秘的な湿地もあり… 偶然の訪問にしては、かなり充実した「山」の気分を味わうことができた次第。
 (追記:この山の雰囲気には、里山での自然観察中心だった日々の中、しばらく忘れていたものを思い出させてくれるほどのものがあったが、はからずもこの後、さらに公私共に多忙を極め、ついに新たな山歩きの機会を得ないまま、この年を終えることになってしまった。全くもって残念至極。来年こそは、せめてもう少し「山」らしい山を歩きたいと願う。)