山行記録帳(2014)
〜Yamazaki's Photo Diary 2014〜


 【山行・自然観察リスト】
 2014年最初の山〜皆神山  9年ぶりの訪問〜砥石城山(戸石城址)  相も変わらず展望良好〜妻女山
 14年ぶりの訪問〜筑波山  花咲き蝶舞う長閑な里山〜三登山  ニホンザルとの出逢い〜鬼無里の山中にて
 真夏の余暇に〜三峯山と聖山  長女の自由研究で〜紅葉の岩屋  雄鹿との遭遇に一驚〜たら原山と聖山
 壮大な城郭遺構〜安土山(安土城址)  蝶の観察2014〜限られた時間の中で出逢えた清楚可憐な面々


 2014年最初の山〜皆神山
 1/1、今年もまた私にとっての新年初の「山」への訪問は「皆神山」からとなった。
 それは、やはり「初詣」を兼ねてということなので、家族全員での訪問。ただ、この山への車道は、途中、日陰の林の中の急傾斜を上がるところがあるので、冬季の訪問にはいつも少々緊張するのだが、今年は寒さの割に案外雪が少なく、ほとんど心配もなく頂上付近の「皆神神社」前まで上がれた。
 早速、「左大臣」「右大臣」の神像が安置されている「随神門」をくぐり、まず正面の「皆神神社」、次いで県重要文化財の「熊野出速雄神社」と廻り、最高点の「パワースポット」こと「富士浅間神社」の石祠へ。
 ここ数年、この「富士浅間神社」の裏手から北に「飯縄山」の白銀の雄姿を望むのが、すっかり恒例になってしまった。今年の見え具合は、やや曇り加減ではあったものの、ほぼ頂上まで望むことができ、まずまずといったところ。
 適度に陽射しもあり、山の上の割にはさして寒さも感じないコンディションの下、私はまた心機一転、身を浄めて今年一年を過ごそうなどと家族に声をかけながら… 実のところ、私自身こそがその言葉を最もかみしめなければならないはずであることに、ふと気付き… 新年早々、何やら複雑な感慨をおぼえた次第であった。







 9年ぶりの訪問〜砥石城山(戸石城址)
 1/5、年末年始の連休も最終日となったこの日、私はふと思い立ち、長男と共に砥石城山(戸石城址)に訪問。
 この山、私には平成17年(2005年)の3月に訪れて以来で、ほぼ9年ぶりの訪問となったが… いざ訪れてみると、前回の訪問当時よりは、さらによく整備がされていて、城址直下の急登も安心して登ることができた。また、そんな状況だけに、地元の人々にとっても格好の憩いの場となっているようで、我々が登り始めたのは午後であったにもかかわらず、高齢者も含む数人の人に出会った上、やや陽が傾きかけ、我々が下っていった頃になっても、まだ登っていく人がいるのには少々驚いた。もっとも、このように適当に人が訪れているようでなければ、里山というのはいつしか荒れてしまうので、この点、この山はある意味「幸運」というべきであろう。
 ところで「戸石城」とは、(狭義の)「戸石城」の他、「本城」、「桝形城」、「米山城」と、複数の城砦が一群となって形成されている大城砦であり、「本城」は館、「桝形城」は詰めの城としての役割を担っていたものと思われる。「山」として見た場合、それら個別の城砦の中での最高点は「桝形城」であり、そこまで行くと、四阿山、根子岳、烏帽子岳など、周囲の山々の眺めがさすがに良好だ。来てよかったと思いつつ、たまたま登ってきた人と話をしたら、その人、何と隣の群馬県嬬恋村からはるばる「鳥居峠」を車で越えて訪れたのだとか(!)。まあ「戸石城」といえば、甲斐の武田信玄と戦い2度も破ったという信州の伝説的英傑・村上義清の重要拠点であり、かつてこの城を攻めた武田勢は後世に「戸石崩れ」と伝えられるほどの惨敗を喫したというので、全国的にも少なくとも歴史ファンの間では知名度十分、おまけに数年前のNHK大河ドラマの影響などもあるだろうから、件の群馬の人のように、遠方からでも訪れてみたい気持ちは判らないでもない。実際、そういう私自身、はるばる長野から出ていったのだから…(!?)
 ともあれ、私は実のところこの年末年始、何かと多忙でさほど真の意味での余暇を得られないまま、今日まで過ごしてきてしまったのであったが… 今日のささやかな「山」で、そんな「後悔」の念も一気に吹き飛び、寒冷な空気の中の割には、至極爽快な気分で家路につくことができた。







 相も変わらず展望良好〜妻女山
 3/15、春の到来を間近に控えた中、私は長野市松代の妻女山へ訪問、自然観察の合間に同山北端の「展望台」に上がってみた。
 すると、若干霞がかかってはいたものの、北アルプスや戸隠連峰、飯縄山など、白銀の衣をまとった錚々たる面々の、相も変わらず素晴らしい展望が眼前に拡がり… 私はしばし自然観察のことも忘れて、それらの眺めを存分に楽しんだ。
 特に立派なのが戸隠連峰最高峰の高妻山だが、さらに遠く西の方に連なる鹿島槍ケ岳などの雄姿も捨て難く… 別段写真の趣味のない私でさえ、もっと性能の良いデジタルカメラが欲しいと思ったほど。もっとズームや接写がきく機種があれば、山の景観だけでなく、蝶の卵や若齢幼虫なども、もっと鮮明に撮影できるはず…
 と、ここまで考えて、否応なしに、はっと我に返った(!)。いくら欲しくたって、先立つものは…? 全く、現実は厳しい…







 14年ぶりの訪問〜筑波山
 3/23、私用で栃木方面に訪れたついでに、茨城県の名峰・筑波山に立ち寄っていくことにした。標高的には1,000mを割っている平凡な山ながら、頂上部の「女体」「男体」両峰がいわゆる「双耳峰」をなす山容は美しく、『日本百名山』の深田久弥ならずとも、思わず心惹かれるものがある。
 そのためなのかどうか… この山、私にとっては今回で3回目の訪問となる。長野県在住者で、この山に3回も訪れるというのは、我ながら結構物好きの類のような気がするが… それよりむしろ、訪問後に改めて調べてみたら、2000年(平成12年)の3/5に訪れて以来、実に14年ぶりの訪問であった。ついこの間、訪れたばかりのような気がしていたのだが… 時の経つのは想像以上に早いものだと少なからず驚かされた。
 ちなみに、私はこの山、初回は麓の「筑波山神社」から歩いて男体山、次いで女体山と登り、2回目は子供を背負ってロープウェーで女体山のみ訪れた。今回は、家族同伴かつ時間的にも限られていることから、登り口は初回と同じ「筑波山神社」だが、途中から戦前に既に営業開始していたという歴史あるケーブルカーに乗って、「女体」「男体」両峰の鞍部である「御幸ケ原」まで上がり、そこから両峰を往復するルートを選択した。
 ところが… ケーブルカーだから楽だろうと高をくくっていたところ、いざ訪れてみたら、肝心のケーブルカーの駅までの間を結構歩いて登らねばならず、長野とは比較にならないほど温暖な気候とも相俟って、存外、汗をかかされるハメになった。
 それでも、汗をかくほどに爽快なのが山というもの。「百名山」らしく多くの登山客であふれ返る「御幸ケ原」から、まずは男体山へ、次いで女体山に上がると… さすがに「名山」、相応の登り甲斐が得られ、また独立峰だけに周囲の眺めも実に開放的で、印象的にも3度目とも思えないほど、きわめてフレッシュな「山」の一時を過ごすことができた。







 花咲き蝶舞う長閑な里山〜三登山
 5/18、長野市若槻にある里山・三登山に家族で自然観察を兼ねて訪問。
 この山、私が初めて訪れた当時(1990年代初め頃)に比べれば、道もしっかり整備され、薮も刈り払われて、実に快適な里山歩きを楽しめる山となった。それゆえ、私も気が向く度に幾度となく訪れてきており、今回も、私としてはつい先日訪れたばかりのような感覚で、一種「マンネリ」じみた気分を少なからず抱きながらの訪問であったのだが… 帰宅後に調べてみると、今回の訪問は、意外にも2010年(平成22年)の同時期に訪れて以来、はや4年ぶりとなることに気付いて、内心驚いた。先日の筑波山訪問後にも感じたことだが… 最近、どうも日々多忙で、時間に追われて過ごしているせいか、気がつけばいつの間にか… という感じで、やたらと時の経つのが早い。
 こんなことが何度も積み重なると、人間、この調子で年をとっていってしまうのか… などと、いささか空恐ろしい気分にもなってくるものだが… しかし実際に山中にいる間は、別段そんなことを考えるでもなく、むしろ今回の場合「スプリングエフェメラル」の一つであるミヤマセセリの舞や、また山野草の中で私が最も好きなものの一つであるチゴユリの小さく可憐な花などに出逢うことができ、何度も訪れた山の割には、割と充足感の強い山歩きであった。







 ニホンザルとの出逢い〜鬼無里の山中にて
 6/8、たまたま自然観察で訪れた、長野市鬼無里(旧鬼無里村)のとある山中で、思いがけずニホンザルに出逢った。
 山に訪れていて、野生のニホンザルに出逢うのは、決して珍しいことではなく、特に群をなした彼らに木の上から見下ろされている中を歩いていくのは、あまり気持ちの良いものではないが… 今回の場合、見られたのは1頭だけであった。いわゆる「離れ猿」というのであろうが(大概の場合、雄であるらしい)、本来であれば群をなして行動するものが、果たしてどんな事情があって、群から離れたものか…
 見ていても、別に逃げようとするでもなく、存外おとなしいので、驚かさないよう静かにデジタルカメラを向け、シャッターを切りながら、改めてよく見てみると… 猿というのも、意外と「表情」のあるものなのだなと、おかしな感心をさせられた。下に掲げたのは、その際に撮影した画像の一部であるが、特に最後の(右下の)画像など、空を見上げる表情が何ともいえず寂しげで、何やら動物キャラクターのドラマを観ているかのような、妙な錯覚にとらわれた。
 かくて写真を撮り終わった後も、この猿、まるで移動する様子が見えなかったので、とうとう私の方が根負けしてしまい、ほどほどの所で、この場を後にしたのであるが… さて、この猿君、この後、どこかの群に無事合流できただろうか…?







 真夏の余暇に〜三峯山と聖山
 7/21、例によって蝶の観察を主目的に各所を巡る途中、馴染みの聖高原近辺の山々(「三峯山」と「聖山」)に訪れた。
 すると、狙い通り、これらの山々ではヒョウモン類などがちょうど盛りで、しかもそれらが「乱舞」という表現そのものの如くに舞い競っている情景に出逢うことができた。
 もっとも、それらの画像は別項に譲るとして(下に掲載した「蝶の観察2014〜限られた時間の中で出逢えた清楚可憐な面々」参照)、「山」としては、今日のこれらの峰々がどうだったかといえば… この日は残念ながら曇ったため、期待した北アルプスの大展望は全く望めず、せいぜい飯縄山や四阿山、それと善光寺平の俯瞰が楽しめた程度で、きわめて平凡であった。強いていえば、この日は善光寺平を流下する千曲川の水面と、その両岸の緑の河川敷の色彩が、いつになく、くっきりとして鮮やかに見えていたのが多少印象的ではあったが、周囲が曇りで色彩的に乏しい分、相対的にそう見えたのであろうか…?







 長女の自由研究で〜紅葉の岩屋〜紅葉の岩屋
 8/13、この日は、いつもとはちょっと趣の異なった目的で、長野市の各所を駆け巡った。というのは… 長女の小学校の夏休み自由研究のテーマ「長野市の怪奇伝承(仮題)」という、私個人的にも興味のあるテーマのサポートとして、長野市内各所に残る、怪奇不可思議な言い伝えや昔話にゆかりの地を実際に探訪してみることになったのだ。
 要は、実際にその場所を訪れて見なければ、なぜその場所で、そのような言い伝え等が発生したのか、その話の信憑性は? 等を本当の意味で探求することはできない、などという理屈をつけてのことで… その実、私自身も大いに興味津々、初めて訪れる場所も含めて実に数多くの場所に訪れさせていただいた。
 その過程で、かの有名な鬼女紅葉の伝説に関わる場所にもいくつか訪問したが… 中でも「紅葉の岩屋」あたりは、ちょっとした山歩き気分も味わえる場所、というわけで、折角だからここに掲載した次第。
 この場所自体については、2011年の春先にも一度訪れており、あえて追記すべきことはないが… 今回の場合、そこに至るまでに「鬼の塚」とか、鬼女紅葉の寺「大昌寺」など、紅葉関連の多くの遺跡等に訪れることができたことは、単なる「山」にとどまらず、普段なかなか気がつかない郷土の歴史に触れることができた貴重な機会であった。







 雄鹿との遭遇に一驚〜たら原山と聖山
 10/27、今年2度目の、馴染みの聖高原近辺の山々(今回は「たら原山」と「聖山」)に訪れた。
 今回は、最近には珍しく自然観察目的ではなく、山麓の史跡巡りなどのついでに訪れたものであるが、山上からの展望は、先に7/21に訪れた時よりはずっと良好で、北アルプス鹿島槍ケ岳のあの特徴ある美しい双耳峰をはじめ、飯縄山や黒姫山など、多くの山々を望むことができた。
 が… それにもまして、今回大いに驚かされたのは、聖山の頂上直下で、立派な角を持った大きい雄鹿に遭遇したことだった。私はこれまで幾度もこの山域に訪れているが、ニホンジカを目撃したのは今回が初めてであり… 最近、鹿が増えすぎ、貴重な高山植物をはじめとする各地の植生や農地などに重大な被害をもたらしているという状況を、今更ながら実感することができた次第。
 折しも今年は、北アルプスでも鹿の姿が確認され、その影響が危惧されるに至った上、夏の終わり頃から各地に熊が出没し、人的被害まで出て大問題となるなど、野生動物に関する問題がこれまでになくクローズアップされた。こうなると実際、狼を日本の山に再導入すべきとの論にさえ、一定の説得力が出てきたようにも思えるが… しかし本当にそうなったら、私のような薮山好きの者は、そうそう安心して山を歩くこともできなくなりそうな気もするし… どうも、なかなか難しいものである。







 壮大な城郭遺構〜安土山(安土城址)
 12/30、たまたま私用で近畿地方に訪れたついでに、これまでずっと、一度はこの目で見てみたいと思っていた、かの有名な織田信長が築いた名城・安土城の址への訪問を果たすことができた。あまりに有名で一種、世俗化しているとはいえ、私のような城郭巡り愛好家にとって、ここはやはり割愛すべからざる、一度は訪れてみたい地であった。
 この冬は、例年になく早く雪が降り、栄村などでは孤立すら生じたほどであったのに、今回、訪れた近畿地方では、まるで積雪がないどころか、長野では考えもつかないほどに温暖な気候で、私など日中は普通に歩いていても汗ばむくらい。しかも、いざ登り始めた安土城址の大手道石段は結構段差が大きく、当然ながら、歩を進めるにつれて、私のような体格のよい者の額からは汗が流れ出し… 結果、安土山頂上の「天主閣址」に到着した頃には、顔の周りから湯気が立ち上るまでに至った。
 とはいえ、汗をかくほどに爽快なのが「山」というもので… 私は、今年3月に訪れた筑波山で、やはり同様に予想以上の汗をかきながら、頂上で味わったフレッシュな印象などを、何とはなしに今、安土城の「天主閣址」に立つ自身の姿に重ね合わせながら、山に訪れ続けている割には「頂上」に存外縁のなかった、今年一年の自身の山歩きのあり方を、自分なりに振り返りつつ… 思いがけず今日この地に訪れられたことを、素直に幸運であったと思った。おそらくはこれが、私にとって今年最後の山歩きになるであろうし…
 私は、長年の訪問願望を果たせた充実感と共に、事前の想像以上に壮大な規模を誇る「天下人」の城址の印象を、しっかり脳裡にとどめおくべく、しばし周囲を逍遥した。







 蝶の観察2014〜限られた時間の中で出逢えた清楚可憐な面々
 2014年も相変わらず、私にとっての「山」は、蝶を中心とした自然観察中心の活動フィールドというものであった。
 そのため、山には行くものの頂上まで登らない、というケースがかなり多かった上、この年は公私共に身辺環境が変わったこともあり、昨年と比べると全く思うように時間を取ることができず、結果として「頂上」込みの山行記録はきわめて少ないということになった。
 また、時間を十分に取れないがために、当然、印象深い(希少種や私の居住地周辺には生息していない)蝶との出逢いに乏しく(というよりは、昨年があまりに良すぎた)、また、最近は単に蝶を野外で追いかけるだけでは気がすまず、卵や幼虫からの飼育にも相当挑戦するようになったので、いきおいその方にも結構手数を要し、ただでさえ少ない自由時間を「山」(特に「頂上」込みの)にさくことが難しくなってしまった。
 もっともその分、これまで希少種ばかりに気を取られ、半ば研究対象から放置していた普通種の蝶について、改めて見直す機会が得られたように思うが…
 ともあれ、2015年も引き続き、希少・普通にこだわらず、下に掲げたような多くの清楚可憐な蝶たちと出逢いたいものである。