山行記録帳(2010)A
〜Yamazaki's Photo Diary 2010,A〜


 【山行リスト】
 旧信州新町の里山巡り@〜萩野山(萩野城址)  旧信州新町の里山巡りA〜天狗山
 ミズバショウに遭遇〜袴湿原  自然の豊かさも良し悪し〜旧秋葉街道・青崩峠
 今年もまた〜善光寺平近辺の里山通い(妻女山、天王山など)
 久々の訪問〜信越トレイル・黒倉山と鍋倉山  蝶の姿を求めて@〜陣場平山
 蝶の姿を求めてA〜聖山と三峯山  家族旅行で立ち寄り〜八甲田山(田茂萢岳など)
 私以外は気分爽快!?〜毛無山  信州最南端近くの里山散策〜茶臼山
 雹降りしきる中〜富士ノ塔山  新情報を得て再訪〜上ノ山(上ノ山城址)


 旧信州新町の里山巡り@〜萩野山(萩野城址)
 5/5の朝、私は、昨日に引き続き、家族に「皆で山でも行かないか」と声をかけてみたが… 最近山歩きに飽きて軟弱に堕した我が家族の反応は相変わらず芳しくなく、昨日と同様、次男が手を挙げたのみ。で… やむなく私と次男の2人のみにて自宅発。
 今日の趣向は、例によって蝶など春の使者の姿を追い求めつつ、里山の頂上にも1〜2箇所訪れてみようというもの。その第一の目的地に選んだのが「萩野山」こと萩野城址の峰。同名の城址が長野市陣場平山の西の外れにもあるので紛らわしいが、旧信州新町にある城址は、木曽義仲遺臣仁科氏ゆかりの地であり、長野市の城址よりは歴史的にずっと古い。もっとも、そのせいか、普通の典型的な中世の山城址でみられるような空堀とか切岸のような遺構は特段目につかないが、その分、いかにも山深い隠避の地といった感が強い。
 今回は、「萩野池」の畔から遊歩道をたどって登ってみた。ジグザグの遊歩道を少し登ると、じき「萩野城跡」の標柱が立つ、馬頭観世音などの石碑が並ぶ一角に出て、そこから右へわずかで東屋のある頂上。付近には我々以外に人影もなく、ただ越冬して色が薄くなったスジボソヤマキチョウがゆらゆらと舞っている様が、何ともいえず長閑であった。






 旧信州新町の里山巡りA〜天狗山
 5/5、先の萩野山への訪問後、私と次男は次いで、萩野山のやや東に位置する「天狗山」に訪問してみることに。
 この山、私は数年前の7月中旬に一度訪れたことがあるが、今回はまだ木々が葉を落としてスッキリしているので、昨日の三登山と同様、この時季ならではの明るい雰囲気を味わえるのではと期待しながら訪れてみたものである。と… 予想通り、7月とはまるで別の山であるかのような明るさ。相変わらず人があまり訪れない山であるとみえ、道はあまり明瞭ではないが、適当に見当をつけて一気に頂上まで登り切ると、意外や、今回は三角点標石の周辺の雑木がきれいに伐り払われており、そこから周囲の見通しが結構きくようになっていたのが嬉しい誤算。あまり見慣れない方角からの聖山方面や、また眼下にたたずむ柳久保池の鏡のような水面などをしばし眺めた後、元来た道を戻り始めた我々の周囲には、越冬から目覚めたヒオドシチョウの可憐な姿が時折優雅に舞っていた。







 ミズバショウに遭遇〜袴湿原
 5/8、私は例によって、朝、家族に「皆で山でも行かないか」と声をかけてみた。が… 私のように特に好きな者でもない限り、一度楽な方向に流れてしまうと、わざわざ苦労を余儀なくされるような遊びはしたくなくなるものとみえ… またしても手を挙げたのは次男ただ一人のみ。私は、女房はじめ他の子供達の軟弱を憂いつつ、次男と共に自宅発。
 もっとも、そういう私自身、この日はさほど「頂上」にはこだわっておらず、蝶などの自然観察をしていくついでに、どこか寄り道できればいい程度に軽く考えていたものであり… そんな気楽なドライブの途中、たまたま飯山市側から信濃町側へ「万坂峠」を超えようとした際、にわかに思いつき、「信越トレイル」の袴岳登行ルートをたどってみようという気になった。
 で… とりあえずは「袴湿原」まで上がってみると、周囲にまだ若干残雪の残る湿原は比較的水量豊かで、しかも湿原の片隅にはミズバショウの可憐な純白の花! ただ、日陰の残雪はまだまだ案外多く、あわよくば袴岳まで… との事前の皮算用は、足回り不十分の次男同伴ゆえ断念せざるを得なかった。






 自然の豊かさも良し悪し〜旧秋葉街道・青崩峠
 先の5月上旬の「里山巡り」後、諸事情により、私の週末の行動は蝶をメインとした自然観察中心となってしまい… 本HPのテーマである「山」らしい山にはなかなか行けないまま、いつしか6月に入ってしまった。
 6/6、この日も私は、蝶の姿を求めて、はるばる信州最南端に近い旧南信濃村方面に訪れた。狙いは無論、信州北信地域あたりでは見られない暖地系の蝶を求めてであり、結果、アオバセセリが北信では到底見られないほど群をなして舞い飛んでいた光景が見られるなどの成果があったが、折角出て来たことでもあり、この機会に旧秋葉街道を「青崩峠」までたどってみようという気になった。
 そこで、「青崩峠」に向かう車道の脇にある旧秋葉街道入口の標識に導かれて、小嵐川への斜面を少々下り、鬱蒼とした樹林の中に細々と続く苔むした旧秋葉街道を歩き始めたが… 周囲には人影が全くなく、しかも全般にじめじめした雰囲気の道が続き、所によっては、ちょっとした流水が道を横切っている箇所もあった。私は何となくいやな予感がしたが、来てしまったものは仕方がないので、とにかく湿った箇所は極力足早に行き過ぎるようにしながら進み、どうにか峠まで行き着くことができた。そこはもう15年以上も前、「熊伏山」に登った際に一度訪れたことのある地だが、雰囲気は当時とさほど変わっていなかった。そのへんでは、さすがに2〜3人の人影が見られ、私は多少ほっとした気分をおぼえつつ、しばし峠の雰囲気を味わってから、帰りは車道を駐車場所まで戻った。
 先刻感じた「いやな予感」が的中したのは、そのすぐ後だ。何やら右足膝あたりに、生暖かい妙な感触をおぼえたため、車を下りて確かめてみると… 何と該当箇所が血まみれになっているではないか! ヤバイ、山蛭だと思い、被害箇所をあらためると、いずれも右脚の膝下に1箇所と、足首外側のやや上に1箇所。あわてて車内にあった塩の瓶を取り出して振り掛け、最後は踏み潰して駆除。まあ、血がしばらく止まらないことを除いては、別に痛くも痒くもないので、ある意味では蚊や蚋に食われるよりはましだとはいえ、どうも気持ちの良いものではない。これも見方を変えれば、それだけ豊かな自然が残っているということなのだろうが… あまり自然が豊か過ぎるのも良し悪しだとは、我々「山登り」には実に皮肉な話。ともあれ、早く風呂に入りたいと思いつつ、帰途についた次第。






 今年もまた〜善光寺平近辺の里山通い(妻女山、天王山など)
 この数年、私には蝶をはじめとした自然観察目的で、善光寺平近辺の里山に連続して訪れる機会が増えている。
 中でも、長野市内松代の妻女山近辺や、また若穂の天王山あたりは、私にとっては馴染みの自然観察スポットとなり、これまで幾度となく訪問してきた。
 それらはいずれも、極端な話、日が長い時期であれば、仕事が終わってからでも駆けつけることが可能な地であるので… 今年も、妻女山には、3/7、3/20、6/5、6/11、6/18、6/19、6/26、と、本文記述時点で計7回、また天王山には、6/16、6/20、6/26、と、本文記述時点で計3回、実際に仕事の後に駆けつけたのも含めて、それぞれ訪問してきたところであるが… さすがに数年も通いつめていると、大体、その地に生息する蝶の種類や発生時期などの傾向がわかってくるので、ただ闇雲に毎週のように訪れなくとも、ある程度「狙い」を定めての訪問が可能となってくる。
 そうなると、今度はそれで若干余裕が生じた時間を、さらに別の地域の調査に回せることにもなるわけで… それゆえ今年の場合、私の自然観察のエリアは、先の妻女山や天王山のみにとどまらず、より広範な地域に及び… 結果、これまでなかなか出逢えなかった、いわば「希少種」に類するような蝶の種類にも、少しずつ遭遇できるようになってきた。それも一種「灯台下暗し」というか、それまで気がつかなかったが、実は思わぬ近所にも生息しているのだということが、案外多いのに今更ながら驚いている次第であり… これからも引き続き、そのような地域の知られざる「財産」を、少しずつ発見していきたいものだと思っている。







 久々の訪問〜信越トレイル・黒倉山と鍋倉山
 7/24、信越国境に横たわる通称「関田山脈」中の雄峰、「黒倉山」と「鍋倉山」に久々に訪問。
 これらの山々には、私も既に何度か訪れているが、これまでで最後に訪れたのが平成9年の4月下旬であり、それからはや10年以上にもなる。その間、この山域の状況は大分変わり、今や「信越トレイル」として改めて注目を集めるエリアとなったところであり… 10年前と比べて今はどんな雰囲気となっているのか、確かめてみたいという思いを、かねて抱いていたものである。
 もっともこの日は、午後に所要があって、あまり長居もできない状況であったため、登り始めは、当初訪問時と同じ関田峠から。鬱蒼と生い茂るブナの樹林に覆われた山稜を、時として路傍に現れる池塘を眺めたりしつつ、黒倉山経由で鍋倉山までノンビリとたどった。所要時間は1時間少々、その間、特に10年前とは雰囲気が変わった箇所は見当たらず、相変わらずの静寂さを保っていることに、私は何とはなしに安堵感をおぼえた。まあ、あえて以前と変わった点を挙げるとするなら、途中、出会った登山者の数が案外多かったことくらいか。やはり「信越トレイル」の知名度はそこそこにきいているようだ。もっともそれも、別段賑やか過ぎるというほどのこともなく、また適度に人影があるということは、熊の出没騒ぎがしばしば出来する最近の状況下にあっては、むしろ安心感があってよい。







 蝶の姿を求めて@〜陣場平山
 既に上述した、長野市内松代の妻女山や若穂の天王山の他にも、善光寺平近辺で私にとって馴染みとなった自然観察ポイントは数多くあり… それらは実際、本HPのテーマである、一応の「頂上」を有する「山」のみには限らないのであるが、それでもやはり「山」を本来の趣味とする私にとっては、いかに自然観察主目的の行動の中であっても、時々はどこか「頂上」らしい場所に立たないと、どうも落ち着かないというのが正直なところ。今回ここに記す陣場平山は、今や私にとって、そんな思いにかなう、実に好適なスポットの一つとなったものである。
 今年は、8/8に同地に訪れてみたのであるが… まさに狙い通り、ごく短時間のうちにあってさえ、目につく蝶の種類の多さ! …キアゲハ、ウラギンスジヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、メスグロヒョウモン、ツマグロヒョウモン、サカハチチョウ、ジャノメチョウ、ヒメキマダラヒカゲ…
 ヒョウモン類には、若干時期が外れて翅が擦れているのが多かったものの、それでもキアゲハの交尾を目撃できたり、また特にサカハチチョウ夏型の発生がピークで、これまで見たことがないほど同種が周囲に舞い競う情景にお目にかかれるなど… 私には実に興味深い一時を過ごすことができた次第。






 蝶の姿を求めてA〜聖山と三峯山
 本項に記す聖山もまた、私にとって今や貴重な自然観察ポイントとなった「山」の一つで、長野市内松代の妻女山や若穂の天王山ほどではないにせよ、訪問回数がここ数年の間、飛躍的に増えたポイントである。今年も、7/19、8/8、8/15、と、本文記述時点で計3回、訪問してきたところ。
 また、7/19には、麻績村の三峯山にも併せて訪問したが、同山もまた、私にとってここ数年、聖山とセットで訪れることが増えた「山」である。
 これら両峰の良いところは、単に蝶などの自然観察に好適なスポットというだけにとどまらず、それぞれが一応「山」としての魅力を有している点にある。中でも優れているのは頂上からの展望で、晴天下であれば、聖山にあっては西に連なる北アルプスの屏風のごとく立ちはだかる連嶺をはじめとする周辺の山々など、また三峯山にあっては、眼下に大きく拡がる善光寺平や、その背景をなす飯縄山の優美な姿など…
 両峰とも、「山」としては手軽に過ぎるところが物足りない点ではあるものの、それでもなお、両峰には、そんな欠点を補って余りある魅力があふれていると思う。それゆえ、世の多くの自称登山家が「あんな所は山ではない」等といって、これら両峰に見向きもしない現状は、ある意味むしろ両峰にとって好ましい状況と言えるかも知れない。何故なら、皆がこれらの山々の魅力に気付き、今より大勢の人が訪れるようになれば、これまで何とか保たれてきた、これらの山々の自然環境のさらなる破壊につながりかねないから… もっともそう言うと、本HPの趣旨からすれば、いささか逆説的な言い方になるのかも知れないが…!?







 家族旅行で立ち寄り〜八甲田山(田茂萢岳など)
 我が家族にとって、子供達の夏休み期間中の東北旅行は、この数年すっかり恒例となっているが、今年もまた8月中旬過ぎに数日出掛けてきた。今年は、数年前のようなガソリン代の高騰がなかった上に、休日の「1,000円高速」、さらには無料実験区間ありときており… 我が家のような大所帯にとって遠出にはまたとないチャンス。そこで、今年は例年より若干「遠征」して青森あたりにも足を延ばし、その中の8/20、八甲田山系を通過していくことに。
 まずは昼食かたがた「雪中行軍碑」に立ち寄っていく。これは映画『八甲田山』の題材となった、明治35年1月下旬に発生した陸軍青森歩兵第五聯隊の雪中行軍遭難事件の際、奇跡的に生還した後藤伍長の銅像で、立地場所は従来「馬立場」と呼ばれていた場所にあたる。まずはその周辺をしばし散策。
 次いで、「八甲田ロープウェー」を利用して、「八甲田ゴードライン」、すなわち田茂萢(たもやち)岳と田茂萢湿原を8の字型に結ぶ周回コースを歩いてみることにする。私はここには、もう10年以上も前の夏、まだ長男だけしかいない頃に一度訪れたことがあり、その際は、女房と子供はロープウェー頂上駅あたりに待たせておいて、炎天下(注:「陸奥の吹雪」など想像もつかないほど暑かった…)、私単独で八甲田山最高峰の「大岳」までフラフラになりながら往復してきたものであった。が… 今回の旅では女房の母親も同行しており、さすがに私一人でそんな無茶もできないので、おとなしく田茂萢岳周辺の散策のみとした。
 それでもやはり、田茂萢湿原あたりから例の八甲田山中核部の連嶺を望んだ際ばかりは、少なからず「山登り」の血が騒ぐのをいかんともしがたく… いずれ、あそこに再訪してみたいものだと、密かに心に期した次第であった。






 私以外は気分爽快!?〜毛無山
 今年は春先が妙に寒冷な気候で、過ごしやすい年になるのかと思いきや… いざフタをあけてみたら、とんでもない記録的な猛暑続きで、巷では「熱中症」が連日の話題となるほどの有様… 例年なら盆過ぎともなれば、暑さも一段落して秋の気配を感じるものなのに、今年はまるでそんな感じもなく、9月に入っても相変わらず残暑の日々が続いている。
 そんな中、9/4、久々に家族全員で、ちょっと「避暑」にとばかり、軽い山歩きを思いつく。目的地は志賀高原から南に延びる上信国境稜線上にある「毛無山」。隣接して御飯岳や破風岳などの雄峰があるため、目立たない存在の山ながら、いざ訪れてみると、頂上周辺の明るさと展望の良さは一級品の好峰だ。
 登り口は、前述の破風岳との鞍部で、眼下に旧小串鉱山跡を望む「毛無峠」。ここまでは、模型飛行機や無線などを楽しむ人々で結構賑わっているが、少し登れば、最早そこは来る人もない、キタテハやキベリタテハなどが優雅に舞う山上の別天地。我々は爽快な気分と共に、適度に涼風が吹き抜ける明るい笹原の山稜を、頂上目指してノンビリ登っていった…
 …などと書くと、きわめて素晴らしい山歩きの一時であったようだが、実は、家族はともかく、私にとっては、とんだ「災難」であったのだ。というのは… 先日の大雨の影響で地盤が緩んでいたせいか、峠から登り始めてすぐ、私の踏んだ足元の石がいきなり崩れ、私は前のめりに豪快に転倒するハメとなったのだ(!)。私がぶら下げていた買物袋に入っていた家族分のペットボトルは周囲に散乱して泥だらけとなり、おまけに私自身、露出した石に右足をしたたか打ち付けて血を見る有様… それでも根性で頂上までは登ったものの、家族にはバカにされるわ、身体中は痛むわ… 全く、あまり体重を増やすとロクなことはない。







 信州最南端近くの里山散策〜茶臼山
 9/11、家族と共に、南信地域に自然観察に訪れたついでに、長野県根羽村と愛知県豊根村との境にある「茶臼山」に訪問。
 この山、現地で見ると、特に取り立てて言うほどの特徴もない、ごく普通の里山に見えるが… 実は長野県にとっては最南端に近く、また愛知県にとっては最高峰であるという、特別な位置関係にある山である。そのせいか、故・清水栄一氏の『我が遍歴の信州百名山』にも選定されている。
 もっとも、登るのは存外楽で、登り口からせいぜい15〜20分程度もノンビリ歩けば足りる。私にとっては、この山、平成4年の10月半ば頃に訪れて以来なので、本当に久しぶりの訪問であったが… いざ頂上に到着してみると、雰囲気は当時とあまり変わっていなかったので、ある意味ほっとした。ともあれ、愛知県の最高峰らしく、愛知県側に展望がひらけている展望デッキの上に立つと… 眼下の牧場で牛が長閑に草を食んでいる情景がよく見下ろせた。
 帰りは、折角だからと「茶臼山湖」畔にある「カエル館」に立ち寄ってみた。そこは最近発見された新種のカエル「ネバタゴガエル」が見られる唯一の施設とのこと。何でもこのカエル、さながら犬のごとく「ワン」と鳴くというので、若干の好奇心もあって立ち寄ってみたものであるが… 実のところ、めったに鳴くことはないとかで… 残念ながらその声は録音でしか聞くことはできなかった。






 雹降りしきる中〜富士ノ塔山
 今年は、どうも私にとっては公私共に多忙な年で、去る9月中旬に信州最南端近くの茶臼山に訪れて以来、なかなか「頂上」を伴う「山」に訪れる機会がないまま、いつしか10月を徒過、11月もはや終わりに近付いてしまった。
 11/28、この日も、何やかやと手をわずらわしているうち、またまた午後になってしまった。しかし… 11月も最後の週末である今日、もし山に行かなければ、10・11月の2ヶ月間も「山」と御無沙汰という、ここ数年来、私にとっては全く考えられなかった事態となってしまう。
 私はこの日、たまたま何かの拍子にこの事実に気が付き、「山登り」の立場として、さすがにそんな事態だけは何とかして避けたく… どこでもいいから、とにかく手近な「山」へ、というわけで、にわかに富士ノ塔山を思いつく。そこで、買い物に出掛けるついでに、ちょっとそこへ立ち寄って行こうと、登り口に向けて車を走らせていくと… 何と高度が上がるにしたがって、周囲にはにわかに雨が落ち始め、挙句の果てには、それが小粒ながら雹と化した。
 こりゃ… このところ多忙にかまけて「山」をおろそかにしたことに対して、あるいは「山」の神様がお怒りになっているのでは… などと思っているうち、登り口に到着、そこから、次男と一緒に傘をさして頂上に一気に駆け上がり、「浅間社」前に一礼。と… それからすぐに、あれほど周囲にバラバラと音を立てて落下していた雹が、まるで嘘のようにおさまってしまった。はて、偶然にしても、何とタイミングの良いことよと、次男と共に首をかしげつつ、車に戻った。






 新情報を得て再訪〜上ノ山(上ノ山城址)
 12/4、塩尻市の「上ノ山」に次男と共に訪問。
 この山については、私は今年2/13に一度、雪を踏みしめて「上ノ山城址」まで訪れており、その時は「秋葉神社」のある同城の本郭址が頂上だと思い、下山したのであるが… その後、たまたま塩尻市の都市計画図か何かを目にする機会があり、その際、見るとはなしに同図上「上ノ山城址」のあたりに目をやると、何と同城址の西隣の三角点峰の方に「上ノ山」の表示が付されていたのだ(!)。しまった、真の頂上はこっちだったのか、と思い… 以来、この件は当然のごとく、ずっと私の気にかかっていたのであった。今回、そんなモヤモヤした気分を年内にきれいに払拭すべく、再度の訪問となった次第。
 とりあえずは2月に訪れた「上ノ山城址」まで行き、さらに稜線伝いに真の頂上へと向けて踏跡をたどった。然るにこちらはあまり人が訪れないとみえ、イバラの棘が若干鬱陶しい上、頂上直下では存外の急登となり、薮山に慣れない次男には少々厳しかったようだが、幸いなことに、さほど時間も要さぬうち、平坦で広い頂上の一角に到達、ほどなく目当ての三角点標石も見出せた。例によって頂上を示す標識もなく、また周囲は樹林に覆われ展望もなかったが… それでも私にとって、件のモヤモヤ気分はたちまち雲散霧消、額に流れる汗をぬぐう気分は実に爽快であった。