山行記録帳(2009)A
〜Yamazaki's Photo Diary 2009,A〜


 【山行リスト】
 予想以上の肌寒さの中〜長峰山  長閑な春の日の散策〜臥龍山  蝶と展望とを楽しむ〜富士ノ塔山
 神奈川県・座間谷戸山公園にて (本道山)  善光寺平近辺の里山通い@〜皆神山
 素朴な標識に好感〜長野市・天城山  自然観察に〜頼朝山  青森県・下北半島の恐山散策
 善光寺平近辺の里山通いA〜聖山  善光寺平近辺の里山通いB〜三峯山
 善光寺平近辺の里山通いC〜妻女山  善光寺平近辺の里山通いD〜三登山
 善光寺平近辺の里山通いE〜天王山と城ノ峰  善光寺平近辺の里山通いF〜岩倉虚空蔵山


 予想以上の肌寒さの中〜長峰山
 待ちかねた春がようやく到来し、3/15に長野市の茶臼山で今年初めて蝶に遭遇できて以来、私の中では早くもっと多くの蝶に出逢いたいとの思いが日に日に強まった。そこで3/28、茶臼山より南に位置する長峰山に家族で訪れてみることにする。聞くところによると、この山、地元NPOの活動により、蝶の生息環境が良好に整備されつつあるとか。(もっとも、今の時季に見られる蝶とはまた種類が違うのかも知れないが…) 位置的にも、先の茶臼山より南だし、冬の眠りから覚めたタテハチョウの類などの姿をいくつか目にすることができるのではないか… と期待してのことだった。
 ところが… この日は朝から前週や前々週の気候がまるで嘘のような冷気が感じられ、いざ現地に到着してみても、そこでは蝶の姿を目にするどころか、単純に頂上で憩うことすら億劫なほどの肌寒さ。おまけにもう一つの期待であった北アルプスの展望すら、雲がかかって台なしという散々の有様… やむなく、家族で昼食を摂ったのみにて早々に撤退と相なった。
 残念だったが… まあ時にはこんなこともある。今回は多少なりとも「山」の雰囲気を味わえただけでもよしとすべきであろうと諦め、家路についた。






 長閑な春の日の散策〜臥龍山
 4/5、長閑な春の日、家族と共に須坂市にある素朴な里山「臥龍山」に訪問し、しぱし憩いの時を過ごす。
 私にとっては中学生時代からの馴染みであるこの山に、今回、訪れてみようと思ったのは、無論、家族を遊ばせるためもあるが、私の中ではそれ以上に、越冬から目覚めた各種の蝶に出逢いたいとの希望があった。実際、平成17年のほぼ同時期に、やはり家族と共にここに訪れた際には、ヒオドシチョウなどの華麗な舞に出逢えたことがあったので、その時と同様、今回もまた… というわけ。
 ところが… いざ訪れてみると、相変わらずまだ多少肌寒さが残る気候のゆえか、案外蝶の姿は少なく、わずかに山麓の興國寺付近でテングチョウが見られたくらいで拍子抜け。もっとも考えてみれば、平成17年の同時期といっても、厳密には今回はその時より10日以上も早かったので… まあ、仕方ないかと納得。全く、今年ほど、暖かい季節を待ち望んだ年は初めてだ。






 蝶と展望とを楽しむ〜富士ノ塔山
 4/11、長男・次男を同伴して、長野市内の「富士ノ塔山」とその近辺を散策。
 この日の私の目的も、子供達を遊ばせようというのは表向き、実はそれ以上に越冬から目覚めたタテハチョウ類や、あるいはスプリング・エフェメラルの姿を求めてのことだったが、今回はようやく期待通り、アカタテハ、ルリタテハ、ヒオドシチョウといった「越冬組」に出逢うことができた。前週まではやや寒冷さが戻ったような気候のせいか、期待外れの里山巡りが続いていただけに、大いに嬉しい一時であったが、今回は逆に暖かすぎたせいか、蝶はいずれも活発に飛び回り、まるでシャッターチャンスに恵まれず… それでも天候良好ゆえ、頂上から飯縄山や戸隠連峰の姿をデジカメ撮影できたのが幸いだった。






 神奈川県・座間谷戸山公園にて (本道山)
 4/20、たまたま所用で、神奈川県座間市にある「座間谷戸山公園」に訪問する機会があった。
 位置的には、米軍の「座間キャンプ」に近い所で、訪問前の印象的には、せいぜい「都会の中のオアシス」的な場所に過ぎないのだろうとの先入観があったが、いざ足を踏み入れてみると… そんな先入観など一気に霧散してしまった。「谷戸」地形と、その中に育まれた農村風景をそのまま継承・保存し、公園の景観として活かしており、池沼あり、森林あり、と変化に富み、面積的にも、当初の想像よりははるかに広く、さらには随所で見られる野鳥や昆虫や草花など、多くの生命の豊かな饗宴… 公園の中を歩いている限り、まるで都会の中の公園なのだということが信じられないほど。
 しかも… 山好きの私にとって嬉しかったのは、この公園の中「伝説の丘」と呼ばれているところが、別名「本道山」という、一応「山」であったことだ。そこには以前、観音堂があったとのことで、すらわち「本堂」転じて「本道」となったものらしいが、豊かな自然と共に、そんなささやかな地域の「歴史」に触れることができるのが里山の良いところである。この場所が今後とも、この地域の多くの人々にとって、単なる「都会の中のオアシス」的なレベルを超えた、心身の癒しの場、また生涯学習の場であり続けてほしいものだと思う。







 善光寺平近辺の里山通い@〜皆神山
 私の「山」に志向する理由が、単に「山」と名の付くもののピークに立ちたいだけというものから、次第に「山」にまつわる「歴史」や、さらに動植物等の自然に接したいというものに変容していく中、昨年あたりから、主として自然観察の目的により、ごく近郊の里山に年間何度も訪れることが増えている。
 長野市松代にある「皆神山」も、私にとって、そんな山の一つになった。それというのも、この山の頂上周辺一帯にあるツツジが開花する時期、この山はアゲハ類の楽園となるからだ。昨年もそれを狙って、やはりツツジの開花時期に3回ほど、デジカメ片手にこの山に訪れているが、今年はさらに多く、4/26、5/3、5/9、5/10、5/16、と、本文記述時点で延べ5回にわたり訪れることになった。
 ところが… 今年はどうもタイミングが悪かったのか、しっかり撮影に成功したのはアゲハだけで、その他の黒いアゲハ類については、あまりパッとせず、中にはオナガアゲハやクロアゲハのように、とうとう一度たりとも目撃すらできずに終わってしまった種類もあった。まあ、蝶は種類により、当り年と外れ年があるというので… また来年以降も、引き続き観察してみたいものだと思っている。






 素朴な標識に好感〜長野市・天城山
 6/27、私はこの日も、主として蝶の観察目的で、長野市松代町清野にある里山「妻女山」一帯に訪れた。(注:妻女山の訪問記録については、後ほど改めて項を設ける予定。) いつもなら「招魂社」のある付近を中心に、東へ西へとデジカメ片手に数時間にわたり歩き回るのが常だが、この日は普段よりも若干奥まで足を延ばし、真の妻女山という説のある「齋場山」への分岐を経て、さらに「天城山」の方向まで足を向けてみた。もっとも私も最近は、以前ほど「ピーク」というものにこだわらないので、自然観察の方の目的が達せられたら、その時点で引き返すつもりでいたのだが… ふと気がつくと、何だか数年前に訪れた時と様子が違う。というのは、数年前にはなかったはずの標識が、随所に設置されているのだ。それも、素朴な手製ながら、結構太い木を削って造られた、立派な標識で… 私は、これは誰が造ったのだろうと思いつつ歩いているうち、少しずつ興味がわいてきた。山腹でこれだけ整備されているなら、頂上にもきっと新しい標識が設置されているだろうと思った。となると、参考までにそれを見てみたいもの。
 そこで、私はある時点からは、自然観察はそっちのけで、息をはずませながら頂上を目指し… やがて到着した頂上では、期待に違わず、「天城山山頂 694.6M」と記した標示板が「二本松峠 杏の里 鞍骨城」への道標と一体となって樹幹にしっかりと縛り付けられているのを見出した。頂上からの展望は以前と同様、樹木に遮られて今ひとつだったが… それでも数年前の訪問時には何だか判らなかった、頂上にある石室風の石組も、今回は登山道中途に新しく設置された標識のおかげで「坂山古墳」の遺構だとはっきり理解できたのは嬉しかった。
 (追伸:私は当初、これらの標識は妻女山付近の山主で長野郷土史研究会会員の林氏が造られたものと思い、後日尋ねてみたが違うとのこと。では誰が設置したのだろう? いずれにせよ、地域のいわば「宝」である里山が、このようにして少しずつ陽の目を見るようになっていくのは大変嬉しいことだ。)






 自然観察に〜頼朝山
 6/28、長野市内の小峰「頼朝山」に訪問。時季はまさにミドリシジミ類を中心とする「ゼフィルス」全盛、そんな中、かつてはこの頼朝山にも、多くのゼフィルスの姿が見られたとの伝聞により、参考までにその姿を「捜索」してみようというのが直接の訪問目的だった。
 ところが… いざ訪れてみると、伝聞の当時とは植生等の環境が変化してしまったのか、肝心のゼフィルスの姿はほとんど目に付かず、わずかにミズイロオナガシジミが高所を飛翔していくのを目撃できた程度。当然、撮影もかなわず… 何がともあれ長野市の俯瞰が良好の頂上に立ち、額の汗をぬぐう。と… 傍らの木の葉の上に、ゼフィルスならぬダイミョウセセリが1頭のみ、のんびり翅を休めているのを見出した。同じ蝶でも、こちらは一般には蛾と誤解する向きが相当ある「セセリチョウ」科の蝶、当然、写真にしてもあまり美しくないので私も特に熱を入れて追いかけ回しはしないのだが、今回のダイミョウセセリの場合、あたかもゼフィルスなど諦めて自分を撮れと言わんばかりの押し付けがましい態度に見え… 私は思わず苦笑を禁じ得ず、ついデジカメのシャッターを切ってしまった次第。






 青森県・下北半島の恐山散策
 今年は昨年の今頃のようにガソリンの著しい価格高騰もなく、さらに思いがけず高速道路が休日1,000円乗り放題という恩恵が生じたので、これを利用しない手はない… というわけで、我が家では夏休みに半ば恒例化している東北方面への旅行を企画、8/2〜5と秋田あたりに出掛けたが、初日の晩、たまたま同行していた女房の母親が「青森県の下北半島に行ってみたい」と言い出した。地図で見る限り、その日宿泊していた田沢湖付近から、さほどの距離でもないように見えたので、私は二つ返事で了解、至極気楽に考えて翌朝出立した。ところが…
 いざ行ってみると、地図上の感覚よりも遠いこと… 知らず知らずのうちに、どんどん時間ばかりが過ぎ、本州最北端の「大間崎」に到着した時には既に午後1時半過ぎ。ともあれ、そこで昼食を摂り、元来た道を引き返していったが… それでも折角来たのだからと、「恐山」経由で帰ることにする。
 途中から「薬研温泉」への道に入り、道路標識に従って車を走らせると、やがて樹間に「宇曾利山湖」の美しい湖面が見えてくる。ほどなく有名な霊場「恐山菩提寺」に到着、参拝していくことに。順路に沿って「地獄」とか「賽の河原」等と名付けられた火山特有の噴気や熱水がみられる荒涼とした道をたどり、やがて「極楽浜」という「宇曾利山湖」の畔の白浜に出る。そこは本当に極楽ででもあるかのように清浄な風景で、私はいささか立ち去り難いものを感じたが… 残念ながらそこでのんびり憩うほどの時間もなく、ややあって駐車場に戻る。時刻はそこで既に午後5時近く、それゆえ恐山菩提寺の奥の院という「釜臥山」の展望台にも訪れていくほどの暇もなく… 結局、その後宿に到着するまで、さらに4〜5時間のドライブを強いられるハメとなった。







 善光寺平近辺の里山通いA〜聖山
 上述した皆神山と同様、私が最近、年間何度も訪れることになった山はいくつかあり… ここに紹介する聖山もその一つだ。
 殊にこの山の頂上付近から望む北アルプスの大展望は、『我が遍歴の信州百名山』の著者である故・清水栄一氏もかつて好まれたという、いわばお墨付きの絶品であると共に、自然観察面でも、時季を選べば色とりどりの蝶に出逢えるという、晴れさえすれば、まさに「一石二鳥」の好峰であること、また車道が頂上直下まで通じており(注:前述の清水栄一氏は、この車道が通じて以降は、この山に訪れなくなったというが…)、オートキャンプ場などの設備も整っているので、家族連れでの訪問にも適していることなど、今の私の置かれた状況の中で「山」を楽しむのに好条件が揃っている地であるので、昨年も8回、今年も本文記述時点で、4/29、6/20、8/9、8/23、と4回既に訪問しているところ。
 ただ、気がかりなのは、この山にあるスキー場が、今冬をもって営業を終了すると聞き及んでいることで… それが引き金となり、折角のオートキャンプ場や宿泊施設までもが廃れてしまわないよう願ってやまない。地元の方々が現在、新たな振興策を模索されているようだが、この点に関し、私の勝手な希望を言わせてもらうならば、例えばスキー場の廃止後もゲレンデ跡地の環境を整え、ワレモコウ等の野草の増殖を図り、最近減少してあまり見られなくなっているというゴマシジミやヒョウモンチョウ(注:食草はワレモコウなど)などの「楽園」にしたらどうであろうか? そして、この次が肝心なのだが、間違ってもそのエリアを「立入禁止」にすることなく、遊歩道も整備して、ある程度の採集も認めるような方向とすべきだ。そうすれば、野草と貴重な蝶の保護が同時に図れるのみならず、利用者もその自然に身近に接し得る、真の生涯学習プログラムを提供できる得難い場所になり、学校等の団体利用などによって一定の地域振興にも資するのではないかと思われるのだが、いかがであろうか?







 善光寺平近辺の里山通いB〜三峯山
 上述した聖山に近く、今や「聖高原」のシンボル的存在の山となっている「三峯山」もまた、昨年以来、私にとってはすっかり馴染みの山となっている。ちなみに昨年は3度訪れたが、今年は本文記述時点で6/20、7/26、8/8、8/23、と、既に4回訪問した。
 特に8/8は、同山麓のキャンプ場で、8/8〜9にかけて家族と共にキャンプをしたついでに訪れたものであるが、その日は天候があまり思わしくなく、頂上付近で子供と一緒にスミナガシなどを観察しているうち、雨が落ちてきたのでキャンプ場所に舞い戻った。結局、それから一晩中雨に降られてテントもびしょ濡れになってしまったのであるが… 子供達はそれなりに楽しんでいた様子であった。下界では豪雨で災害まで発生していたというのに…
 ともあれ、この山、手軽な山ながら、頂上からの眺望が良好なこと、また自然観察の面でも結構見られる蝶の種類が多く、私などにとっては非常に魅力あふれる地であること、さらには適当に開発が進んでいることで、幼少の子供を含む家族で訪れても安全で大いに楽しめることなど、現在私の置かれた状況の下にあっては、まさに珠玉のような山であり… これからも気の向くままに何度でも訪れてみたいと思うエリアである。






 善光寺平近辺の里山通いC〜妻女山
 最近の私は、自然観察目的で同じ山に何度も訪れるとは、既に何度も上述したとおりであるが… 前年以来、この妻女山が最も通いつめ、すっかり馴染みになってしまった。昨年は結局、計24回、訪問したが、今年は春になるのを待ち切れず、2/15に最初の訪問をして以来、3/21、3/28、3/29、4/29、5/4、5/9、5/16、5/23、5/24、5/30、5/31、6/6、6/7、6/13、6/14、6/20、6/21、6/23、6/27、6/28、7/5、7/11、8/29、と、本文記述時点で既に前年と同じ計24回、訪問してきている。それも、訪問の都度、必ず数時間は歩く。皮肉なもので、軽い里山のピークをきわめるよりも、歩行時間的にはむしろ長い。
 一体、何が面白くて、そんなに通いつめるのか… 実際、家族にすら不思議がられているのだが… その理由の一端は、下に掲載したいくつかの画像から、多少なりともお判り頂けるのではないか。なにしろ、春先から夏の終わりまで、数日経るごとに変転する自然の変化の多様さ、不可思議さ、そしてその中に活き活きと躍動する多くの動植物。それは私の好みの蝶だけにとどまらず、アゲハモドキなど変わった種類の蛾、多くの種類のトンボ、カブトムシやクワガタムシ、野鳥、さらにはカモシカなどの大型動物まで… もっとも一帯の植生のせいか、9月を過ぎると、目につく蝶の姿もめっきり減るので、さすがの私も足が遠のくが… それでも訪れれば訪れたなりに、何か必ず出てきそうな気がする、私にとっては非常に魅力あふれるエリアなのだ。
 このような素晴らしいエリアの自然が、末永く保たれていくことを… 私は心から願ってやまないものである。







 善光寺平近辺の里山通いD〜三登山
 この山もまた、最近の私にとって、結構好みのエリアとなったところである。近年、地元のボランティア活動によって、以前の薮がちだった道がまるで嘘のように素晴らしい林間のトレッキングコースとして整備され、安心して歩けるようになったことが、この山のイメージ向上に大きく一役買っている。もっとも難点を言えば、コース中の展望は総じて不良で、わずかに頂稜部の無線施設のある一角から長野市街地の俯瞰や、またその背後の山なみの展望が楽しめる程度であるのだが… その分、一人思索に耽りながら山を歩いてみたくなったような場合にもってこいのエリアであるとも言える。
 で… 今年は私は本文記述時点で7/12、9/13、と2回訪れたところであるが、その2回のみならず、前年以前に訪れた全ての機会において、私はこの山に訪れた際、一人として他の登山者に出会ったためしがない。何故なのだろう…? ただでさえ一見地味で案外人気のない里山の部類であることや、前述した展望の不良さゆえの一種の「暗さ」が災いしているのだろうか…? 同じ「暗い」樹林にしても、この山の特に頂稜部は広葉樹主体で、針葉樹の植林の暗さとは全然異なる、一種の「暖か味」をもった暗さなのだけれど… はたまた先年やたらと新聞紙上やテレビニュースをにぎわした一連の「熊」情報の後遺症がきいているのだろうか…? まあ、それなら命に関わる話でもあるし、仕方もないかも知れないが…






 善光寺平近辺の里山通いE〜天王山と城ノ峰
 長野市を中心とした善光寺平周辺には、象山とか前述した妻女山とか、尾根の末端のような場所にある目立たない里山ながら、意外と自然豊かで、しかも登れば展望が素晴らしいという場所が結構ある。本項にとりあげた天王山もそんな山の中の一つで、山名の立派さとは裏腹に明瞭な「頂上」のない「山」ながら(注:一般的には「功霊殿」のある「アルプス展望台」の地点あたりを「頂上」とみなしてよいのであろう)、前述の妻女山に比し、より北アルプスや長野市街地の展望が素晴らしいという点で優れており、それゆえ私も今年から同山通いを始め、本文記述時点で7/11、7/12、9/27、と訪れてみた。
 ただ、この山の場合、「自然観察」を重視してみた場合、妻女山よりは歩き回れるエリアがずっと狭いので、私も妻女山の場合ほどには頻繁には訪れていないのだが… そこに純然たる「山登り」、また「歴史探訪」という要素を加えれば、結構豪快で面白いルートになる。というのは、最近、この山から、すぐ上の「城ノ峰」経由で、若穂の太郎山頂上まで通じるトレッキングコースが整備されたからだ。もっとも太郎山までとなると、途中に急傾斜もあり、歩行距離的にも伸びて結構登り甲斐があるので、自然観察を兼ねて気軽に訪れるなら、まあ「城ノ峰」まででも十分楽しめる。それも、標識に「上級者ルート」とある通り、上部では結構スリルのある岩尾根をたどれ、ちょっとしたアルペン的気分を味わうこともできるからだ。当然、頂上手前の露岩上からは頗る眺めが良い。
 私の場合、9/27に、その「城ノ峰」まで足を延ばしてみたが、以前訪れた際よりは道も良く整備され、安心して登ることができた次第。
 
(追伸:ただ、その頂上の標識に「城の峰城址」という表示があるが、長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』や『長野市誌』第12巻資料編、郷土出版社刊『定本 北信濃の城』等を見る限り、「城の峰城」というのは、ここよりやや北の尾根上にある井上氏の城の方であり、こちらは「春山城址」ではないのだろうか? 『長野縣町村誌 北信篇』の「綿内村」の「古跡」の項にも「春山城址」とある。もっとも同項には「春山の嶺にあり。」とあり、「城ノ峰」という山名は出てこないが、郷土出版社刊『定本 北信濃の城』では「城の峰」と明記している。いずれにせよ、このあたりでは山城址のある峰を「城山」と同列のレベルで一般に「城ノ峰」と呼称しているようなので、別段同名の峰が複数あっても不思議はないのだが、それにしても紛らわしいことは確かで、私には、あるいは両者が混同されているのではないかとの疑問を、払拭し切れずにいるのもまた偽らざる事実ではある…)






 善光寺平近辺の里山通いF〜岩倉虚空蔵山
 これまで、私が年間を通じて何度も訪れるようになった多くの里山について記述してきたが、本項に記す「岩倉虚空蔵山」(注:正式には単に「虚空蔵山」、別称「岩倉山」。近くにある信更町高野の同名の山と区別するため、本項では便宜上このように呼称。)の場合、これまで挙げてきた山々とはちょっと違うきっかけで、複数回訪れることになったものである。というのは… たまたま10月の3連休の中日の10/11、女房が突然、この山に行ってみたいと私の前で口走ったことによる。事の発端は、それより数日前の某新聞に、1847年(弘化4年)の善光寺地震で「虚空蔵山」の斜面が崩壊し、犀川を一時堰き止めた上、後でそれが決壊して下流に甚大な被害をもたらしたという記事が載ったこと。私は既に2度この山に訪れたことがあるが、「山」と言ってもほとんど頂上まで車で行ける上、頂上付近はマレットゴルフ場になっていて結構明るいので、即座にその日の訪問を決め、早速、家族全員を伴い、上がってみた。
 と… その日はきわめて天気が良く、周囲の展望も割ときいた上、キタテハやウラナミシジミなど、秋の蝶たちの舞を楽しむことができ、これは来てよかった、今日は心ゆくまで蝶の写真撮影を楽しめると喜んでいるのも束の間、そのうち長女が「きれいな虫」と言ってゴミムシか何かにさわったところ、手に異臭がついて大騒ぎとなり…(!) 早々に現地を後にせざるを得なくなってしまった。
 しかし… たまたまここで多くみられたウラナミシジミについては、私は実はまだあまり多くの撮影画像をゲットしておらず、このままではどうにも不完全燃焼で仕方がない。で… 私一人で翌日の10/12に改めて出直し、今度は首尾良くいくつかの画像をデジカメの中におさめることができた次第。