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【山行リスト】
地元の人すら知らない地味な山城址〜新山城址
素朴な里山散策〜矢先山・霊諍山・寺山
家族サービスの合間に〜坂城町・鬢櫛山
カタクリの花盛り〜旧牟礼村の矢筒山(矢筒城址)
樹間から得られた好展望〜小川村の飯縄山
にわかに思いつき訪問〜旧三水村の戸谷峰
新聞記事に惹かれて〜旧三水村赤塩のカタクリ群生地
昨日に続きカタクリ探訪〜鷹落山
何度訪れても良い珠玉の里山〜長者山
身近な里山はアゲハチョウの楽園〜皆神山
雰囲気の良さについ足が向く〜黒岩山と鷹落山
アゲハチョウの舞に時を忘却〜皆神山
家族ドライブのついでに立ち寄り〜聖山
残雪の深さに驚愕〜野々海高原散策
地元の人すら知らない地味な山城址〜新山城址
3/30、先刻の虚空蔵山への訪問後、私は今日本来の目的地である「新山城址」に向かった。この城址、『長野縣町村誌 北信篇』中「山平林村」の「古跡」の項には記載があるにもかかわらず、長野県教育委員会編『長野県の中世城館跡 分布調査報告書』にはなぜか未収録という特異な存在の山城址で、『長野市誌』第12巻資料編の「第3編 城館跡・条里」の一覧表中「新山城跡」の項にも最低限の記事しかない。当然、地元でもそこが山城址であることを知る者は少ないらしく、実際、私が同城址の直下の「宮平」集落で地元の人に尋ねてみた際も、その方は近くの「須立城」は知っていたが、「新山城」はまるで知らないようだった。ちなみに例の『長野縣町村誌』の記事を引用すると「平林氏これを築くと云ふ。築城年月及び事跡詳かならず。慶長三年同氏奥州へ移るの際これを毀つ。」とある。また同書によれば、この地域は往時、村上氏幕下の平林氏が領しており、村上義清が甲斐の武田信玄との戦に敗れて越後に走った後、当時の領主平林蔵人正恒は武田氏に降ったとされているが、南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)の上尾城跡の項を参照すると、布施の領主平林氏は「村上氏に従い、越後入りしたか。」とある。
いずれにせよ、そんな地味な山城址ゆえ、当然登り口も定かならず、結局は城址の直下に通じている車道から、公共のテレビアンテナらしい無線施設に通じる小道をたどり、後は山城址らしく攻めるに難い急傾斜を登り切って頂上に達した。頂上付近には石祠がみられたほか、特に標識などは見当たらなかったが、周辺の郭や空堀などの遺構はかなり顕著で、ここを地元の人が知らないのが少なからず意外なほどであった。
素朴な里山散策〜矢先山・霊諍山・寺山
4/6、この日は晴天だったが、例によって家で何やかやとしているうちに時間がたち、昼近くになってしまった。とはいえ、そのまま折角の週末の時間を浪費してしまうのも惜しく… 特に目的地も定めないまま、とにかく家族全員で家を発ち、気の向くままに千曲市の稲荷山から聖高原の方向へと車を走らせていったところ、ふと、道の左手に、何やら意味あり気に小高く盛り上がっている里山があるのが目についた。私は経験的にピンときたので、試みに地元の人に尋ねてみると、案の定、そこには道もあるし、頂上には祠や石仏が並んでいるという。それなら幼少の子供達を遊ばせるにも適当そうだし、私自身、全く事前知識のない山なので、どんな場所か確かめてみたい思いもあり、早速、そこに訪問してみることに。
登り口の脇の狭いスペースに駐車し、まずは地元の人が「矢先山」と教えてくれた小丘に登る。ほんの10〜15分ほどですぐに達した頂上は、幾つもの祠が祀られ明るい雰囲気。そこから緩く下ると、鞍部には「大雲寺郷土環境保全地域」の案内看板があり、見ると、その先には「霊諍山(れいしょうざん)」なる土俗信仰の山があるとのこと。私としても、実はそういう名の山は初めて知ったので、興味津々で鳥居をくぐり、良く整備された道をゆっくり上がっていくと、やがて大国主命が祀られているという社のある頂上に到着。社の周囲には案内看板の記述通り、多くの石仏が立ち並んでおり、しかもそれらの中には、歯をむいた脱衣婆の像や、犬や猫を浮き彫りにした像など、他ではあまり見られないユニークなものが散見されて興味深い。信州にはまだまだこのような、地元の人以外には知られざる、しかし素朴で魅力あふれる山々が数多くあるのだ。
なお、さらにその先の東屋のある峰(注:麓の大雲寺の案内看板には「寺山」とある峰)にも足を延ばした上、我々は往路を戻った。
家族サービスの合間に〜坂城町・鬢櫛山
4/12、この日は天候的には比較的良好で、まずまずの山行日和のようだったが… あまり毎週のように山、山と騒ぐと家族にそっぽをむかれてしまいそうなので(!)、今日のところは家族の希望を容れ、どこか公園ででも子供達を遊ばせることにする。場所は家族に選定を任せたところ、坂城町にある「びんぐしの里公園」に決定したので、早速、その方向に車を走らせる。
この公園、「鬢櫛山」という優しい里山の麓から山腹にかけて設置されているもので、自然的には割と豊かな環境の中にあるといえる。当然、そこから鬢櫛山の頂上まで遊歩道も延びており、その気になれば容易に登頂することもできるのだが、最初のうちはあえて登るつもりはなく、麓で子供達を遊ばせながら蝶の写真でも撮っていた。と… テングチョウ、ルリシジミ、シータテハ、と画像をゲットしているうち、段々と欲が出てきて、これは案外、頂上あたりまで行けば、また別の蝶に出会えるかも知れないなどと思い… ついつい、遊歩道を登り始めてしまった。
もっとも、この山、麓からでもほんの15〜20分も登れば頂上に達するという、きわめて手軽な山ゆえ、私は至極気楽に、しかし目を皿のようにして蝶を探しつつ登っていったが… いざ稲荷の祠が祀られている頂上に訪れてみても、案に相違して蝶の姿は周囲に影も形もなし。いささか拍子抜けした気分のまま、麓の公園に舞い戻ったが… 家族は私が頂上を往復してきたことなど、まるで気付いていなかった。
カタクリの花盛り〜旧牟礼村の矢筒山(矢筒城址)
4/19、この日はどうも朝からはっきりしない空模様で、それでも折角の休日だからと家族と一緒に外出してはみたが、案の定、車のフロントガラスには時折霧のような水滴が舞ってきて… これは、どうも山で家族を遊ばせるような状況ではないな、と、半ば諦めかけた気分のうち、たまたま国道18号を旧牟礼村(現:飯綱町)あたりにさしかかったが、その際、ふとした拍子に、この近くにある矢筒山(矢筒城址)が私の頭に浮かんだ。そう、あの山なら、飯綱病院近くの登り口から、家族同伴でもほんの10〜15分も歩けば登頂可能だし、今日のこの天候では、ここしかない! と心に決め、早速、登り口に車を走らせて駐車し、歩き出す。と… ほんの少し歩いた時点で、私は、今日ここに来て良かったと思った。というのは、全く偶然ながら、遊歩道の周囲は、何とカタクリの花盛りだったのだ!
この矢筒山、元々、時季さえ合えば、カタクリの可憐な花々に出会えるとは聞いていたが、それにしても、まさに今日がその花盛りとは! それも、もし、今日がかように天候不良でなければ、おそらくはここに訪れることもないまま終わってしまったであろう。私は、家族と共に緩い遊歩道を頂上までたどりながら、山を趣味にしていて良かったと、心底感じた次第であった。
樹間から得られた好展望〜小川村の飯縄山
4/20、前夜の雨が朝方になってようやく止んだのを幸い、例によって家族全員で家を飛び出す。が… この日は実は特に行く先を決めてなく、しばらくの間はただ適当に車を近隣の野山に向けて走らせつつ、目につく蝶などの画像をゲットすべく追い求めていたが、そのままでは、私はよいとしても、同乗している家族には退屈極まりなさそうなので… ある時点で旧戸隠村(現:長野市)に上がって戸隠蕎麦の昼食を摂った後、今度は子供達を遊ばせるべく小川村の「大洞高原」へと車を向けた。
大洞高原は、ちょうど虫倉山系の西にあたり、一帯は子供も楽しく遊べる公園として整備され、都市近辺の公園のような混雑もなく、晴天時には北アルプスの大展望を楽しめるという好スポット。しかも、そこからは虫倉山系の一部をなす「飯縄山」(注:北信五岳の飯縄山と同名で、紛らわしいため便宜上は「小川飯縄山」等と呼称している山)に容易に登ることもできるとあって、私のような者には実に都合のよい場所といえる。実際、現地に到着して家族を公園で遊ばせている間、私はちょっと時間をもらって、その「飯縄山」に登ってみた。
と… 前夜の悪天の名残の曇天で、北アルプスの展望は今ひとつだったものの、それでも北信五岳の方の飯縄山や黒姫山、戸隠連峰、さらには鬼無里の秘峰東山など、結構な眺めが頂上近くの樹間から得られた。手軽な山とはいえ、やはり登れば登っただけのことはあるものだと思いつつ、頂上の「稲丘神社」に一礼した後、私は相当の充実感と共に、家族の遊ぶ高原へと下った。
にわかに思いつき訪問〜旧三水村の戸谷峰
4/27、この日は、たまたま前日の新聞の地方欄に載った、旧三水村(現:飯綱町)の赤塩地区にあるというカタクリ群生地に参考までに訪れてみるべく、家族で家を出て付近へ車を走らせたが… 肝心の新聞を持参し忘れた上、その新聞記事に地元でも存在を知る人が少なくなっているとあった通り、地元で場所を聞いてもまるで要領を得ない。そんなこんなで場所を発見できないまま、たちまち数時間が経過してしまった。したり、これでは貴重な休日が台無しになってしまうわいと、ほどほどのところで探訪を諦め、代わりに近くにある「戸谷峰」に訪れてみることに。
この「戸谷峰」、中信にある戸谷峰と同名で紛らわしく、便宜上「三水戸谷峰」等と呼称しているものだが、登るのは非常に楽で、頂上直下の登り口まで車で乗りつければ、後はほんの5〜10分も歩けば石祠のある頂上に達するという手軽さだ。どうも最近、こんな山が多くて、本音を言えば私としては少なからず欲求不満気味なのだが… しかし幼少の子供も伴う家族同伴となると、皆を等しく相応に楽しませてやらねばならないので、どうしても最大公約数的に手軽な山への訪問が多くなってしまう。それでもこの山、数年前に訪れた際は、チゴユリの花々が私を出迎えてくれたので、私にとっては結構好印象の山となっているところであるが… 今回はやや時季が中途半端だったとみえ、足元にタチツボスミレの可憐な花々が目についた他には、頂上付近で既に葉桜となった山桜が見られた程度であった。
新聞記事に惹かれて〜旧三水村赤塩のカタクリ群生地
4/28、この日は平日だが休暇を取得。朝起きて外を見ると、そこそこに天候も良いので… 昨日場所を発見できずに訪問断念した、旧三水村(現:飯綱町)の赤塩地区にあるというカタクリ群生地に今日こそは訪れてみるべく、改めて家族と共に家を出た。
と… 前夜のうちにあらかじめ地図上で十分検討した上、昨日持参し忘れた新聞記事も持参して訪れたので、今回は案外すんなりと目的地への入口を発見。いざ場所が判明してみれば、そこは何と昨日車でぐるぐる走り回ったすぐ近くであり、おまけに小さいながら案内標識も随所に設置されていた(!)。然るに昨日、全然発見できなかったのは、偶然とはいえ、よりによって、わざわざ標識が目につきにくい方向から車を走らせていたためだったことも判明… 我ながら唖然としてしまったが、時にはこんな巡り合わせもあるものだ。
早速、最近地元の有志の方々によって整備されたという遊歩道をわずか進むと、たちまち道の両側には薄桃色で頭を垂れた、あの慎ましい姿の可憐な花々が幾つも… 道は地形図上、飯綱町・中野市・信濃町の3市町境の580m等高線の峰の頂上まで続いていたが、最も群生しているのは、その峰の直下の平で、そこには新しいベンチも置かれていた。周辺には全般的に、地元の方々の整備にかける情熱が垣間見られて嬉しかった。たまたま現地で出会った地元の人の話によれば、昔はもっと群生しており、一帯がピンク色に染まるほどだったというが、地元の方々自身による整備が始まった以上、またそのような情景が復活する日もそう遠くあるまいと、私はベンチに腰掛けながら強く思った次第。
昨日に続きカタクリ探訪〜鷹落山
このところ、はからずも旧牟礼村の矢筒山、旧三水村赤塩と、カタクリの群生地に複数回訪れる機会があったが、それで、たまたま昨年、飯山市の「信越トレイル」の中にある鷹落山から黒岩山に訪れた際、やはりカタクリの群落に出会えて感激したことを思い出した。どうせなら今年もまた、その情景に遭遇したい… というわけで、4/29、また例によって家族でのドライブを兼ね、それらの山々の方へと向けて車を走らせる。
「信濃平スキー場」の入口から少し上がると、ほどなく車道の両側に狙い通り、カタクリの花々が現れ始めた。ここの場合、他の群生地と違って、車の中からでも容易にカタクリの花々を愛でながら行けるのが便利なところだが… そうはいっても、ずっと車の中では味気ないので、時折車を停めては、ノンビリと道脇に咲き誇る可憐な花々を家族と共に見物。
もっとも、このあたりは長野県でも音に聞こえた豪雪地、上部では結構深い残雪が出てきて、カタクリの花々の姿もまばらとなり、黒岩・鷹落両山の間の峠に達してみると、黒岩山方面への道はいまだ厚い残雪の下。その中を頂上まで登るには幼少の家族同伴ではキツそうに見えたので、今回は黒岩山への訪問は断念、代わりに北隣の鷹落山にのみ訪問して帰ることにする。こちらは頂上に無線施設があることもあり、頂上直下まで車道が延びているので、多少残雪の状態が悪くても難なく立ち寄り可能ゆえ、家族は下に待たせておき、私のみ残雪を踏みしめ登頂。空は霞み加減で遠方の展望は利かなかったが、間近に鍋倉山、毛無山、高社山などが望まれた。
何度訪れても良い珠玉の里山〜長者山
5/3、ゴールデンウィーク後半の初日、家族全員で信州新町の長者山に訪問。この山、一般にはあまり目立たぬ里山ながら、実は晴天下なら頂上から北アルプス連峰の素晴らしい大パノラマが楽しめる上に、家族でも手軽に安心して訪れることのできる優しい山であることから、私にとっては最近お気に入りの秘蔵の山のひとつとなっているところだ。
昨年は6/17に訪れ、絶好の晴天に恵まれて、北アルプス後立山連峰をはじめとする豪快な連峰を爽快な気分で眺められたもので、今回もまたその際の記憶をたどりつつ、訪れてみたものであるが… 多少曇り加減ではあったものの、この日もまた期待通り、かの錚々たる北アルプスの主要な峰々を、雄大な気分と共に見渡すことができた。
もっとも今回は、多少時季的に早かったせいか、路傍にタチツボスミレなどの花が目についた程度で、最近私が惹かれている蝶の姿はあまり見当たらなかったが、それでも頂上からの大展望は、そんな面での若干の食い足りなさを補って余りあるものであった。全く、何度訪れても良い、少なくとも私にとっては真実珠玉のような山なのだが、然るに我々がこの山中をノンビリ歩いている間、いつものことながら他の訪問者にはまるで出会わず… なぜ皆、これほどの山に見向きもしないのか、不思議な感を禁じ得ない。
身近な里山はアゲハチョウの楽園〜皆神山
5/6、ゴールデンウィークもはや最終日。例年、この時季は家族サービス等で山の方は今ひとつに終わることが多いが、今年もまたそれと同様で、5/4〜5は結局山には行けずじまいで、あっという間に最終日となってしまった。しかも、その最終日すら、何やかやと所用があり… たちまち午後になってしまった。こんな場合は、身近な里山にでも訪れるより他はないのだが、それでも最近の私の山は「登山」というよりは「ネイチャーウォッチング」的傾向が強いので、たとえ身近な山でも、結構自分なりには楽しめるもの。この日もまた、汗を流して登る山はあえて求めず、車で頂上近くまで登れるような山でも、とにかく明るいうちに山上に出て、蝶でも探そうかという程度の軽い気持ちで「皆神山」に訪れてみたのだが…
折しも、山上はツツジ類の花盛り。しかも、その鮮やかな花の周囲には、普段は案外お目にかかる機会の少ないアゲハチョウ科の蝶が幾度となく舞い降りていたのだ! この種の蝶、吸蜜時もあまり静止することがない上に、妙に頭が良くて、すばしこく、なかなかシャッターチャンスに恵まれないものだが、今日ばかりは、樹の陰でじっと動かず待つことしばし、ついに幾度か私の眼前に舞い降りてきた何種かのアゲハチョウの画像のゲットに成功! お馴染みのキアゲハから、ミヤマカラスアゲハ、カラスアゲハ、さらにはクロアゲハまで…!
やはり、山は行けば行っただけのことがある。いつもながら、そんなことを強く実感した一時であった次第。
雰囲気の良さについ足が向く〜黒岩山と鷹落山
5/17、飯山市の「信越トレイル」の一部をなす、黒岩山と鷹落山に訪問。この山域、私にとっては、昨年も同時季に幾度か訪れたエリアで、今年に入ってからも、鷹落山の方は4/29に引き続き2度目の訪問となるなど、ずいぶん馴染みのエリアになってしまったが… それでも私のごとく、何年にもわたって毎週のように山にばかり行っていると、そのうち身近には手頃な初訪の山がなくなってきて、とどのつまり2度、3度と訪れる山々が多くなってくる。そして、そのような山々は、いずれも、私にとって何がしか好みの点があるところの場合が多く… ここ黒岩山と鷹落山も、標高の割には変化に富んだ雰囲気の良さから、つい足が向いてしまうのだ。
今回もまた、そんな私の期待に違わず、この山域は数々の「変化」でもって私を出迎えてくれた。まず挨拶した鷹落山では、頂上近くで越冬のヒオドシチョウが舞い競い、次いで黒岩山へと稜線をたどると、行く道の路傍には、カタクリやイワカガミなどの可憐な花々が今を盛りと咲き誇る。戦国時代の狼煙台址という頂上からの展望を楽しみ、往路をやや戻って、途中から左に分岐、「桂池」方面への樹間の道を行くと、ショウジョウバカマなどが目につくようになり、さらに下りが一段落したあたりの池塘の縁には、残雪を背景に鮮やかに咲き誇るミズバショウの花々!
全くもって「信越トレイル」の山々は、里山の魅力が凝縮された、知る人ぞ知る珠玉のエリアだ。そういえば、今年はいよいよ「信越トレイル」も最北端の未開通部分が開通予定という。開通したら早速訪問し、また新たな山の印象を我が脳裡に刻み付けてきたいものである。
アゲハチョウの舞に時を忘却〜皆神山
5/17、先の黒岩山と鷹落山への訪問後、私は上信越自動車道経由で長野に戻ったが、まだ時間があるので、折角だからと長野ICの近くにある「皆神山」に駆け上がってみた。
この山、今年は既に元日、5/6に続き、はや3度目の訪問となるが、5/6の訪問時に、思いがけず多くのアゲハチョウの舞にお目にかかれたことから、あわよくば今回も… とて訪れてみた次第だが、今回もまた期待に違わず、むしろ5/6以上にアゲハチョウの競演に遭遇!
付近の樹木の陰でじっと動かず、息を潜めていると、待つことしばし、やがて安心したアゲハチョウの仲間達が私の目の前に、意外なほど近く、次々と舞い降りてきてくれた。アゲハ、キアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ…
いずれも、敏捷で普段案外シャッターチャンスに恵まれない蝶たちだけに、こうなると、帰るに帰れず… 気がついてみると数時間もの間、私はじっと樹木と「一体化」したまま、眼前に舞い降りてくる可憐な蝶たちを夢中になって画像にとらえ続けた。
家族ドライブのついでに立ち寄り〜聖山
5/18、この日は特にどこ行くあてもなく、ぶらりと家族でドライブに出て、適当にそこらを走り回りながら、昼食後の午後、聖高原に上がったついでに、折角だからと聖山の頂上まで訪れてみた。
この山、車道が頂上近くまで延び、訪問にはきわめて手軽な存在でありながら、意外と豊かな自然を保つ山域であるため、夏場を中心に例年しばしば訪れる山。無論、最近の私の傾向として、蝶などの姿に遭遇したいという淡い希望があったがためであるが… 今回はやや時季的に早く、頂上近くはまだスミレ類の全盛で、その花々の上をミヤマセセリの♂が飛び回っていた以外には、越冬して変色したスジボソヤマキチョウなどが見られた程度。むしろ、ヤマブキの鮮やかな黄色の花々が、いまだ冬季の名残を残す情景の中にあって妙に印象的だった。
残雪の深さに驚愕〜〜野々海高原散策
長野県北部の信越国境線上に横たわる、いわゆる「信越トレイル」の山々は、別項でも再三記してきた通り、里山の魅力が凝縮された、知る人ぞ知る珠玉のエリアであるが、現状ではまだ最北端の天水山周辺のエリアが未開通部分となっている。が、先日の新聞記事によれば、今年はいよいよその未開通部分も開通予定とのこと。地元ボランティアによる地道な整備作業には真実頭が下がる思いだ。
もっとも、実際に開通するのは、まだ数ヶ月先なのだが… 「信越トレイル」ファンの私など、今からワクワクしてどうにも仕方がない。そこで、せめてその雰囲気の一端だけでも味わおうと、6/1、私としては以前一度訪れたことのある「三方岳」あたりに訪れてみるべく、家族同伴で長野発、栄村の「野々海高原」に車で駆け上がってみた。と… 「野々海池」の下部あたりまで上がったら、何と結構深い残雪が現れ、「野々海池」周辺の林間に至っては、一面残雪に覆い尽くされていたのだ(!)。それは「三方岳」に通じる路上も同様で、少々歩いてみたものの、かなり腐った残雪で一歩ごとに靴が残雪の中に潜り込む有様で… 私はともかく、足元不如意の我が家族の同伴は無理と判断、あえなく登頂断念と相成った。
やむなく「野々海池」近辺の風景を楽しみながら、しばし散策したのみにて、今回のところは我慢せざるを得なかったが… それでも残雪の中の湿地に頭をもたげるミズバショウの可憐な花々は、さながら白昼に出現した妖精の如く、きわめて印象的であった。