山行記録帳(2007)F
〜Yamazaki's Photo Diary 2007,F〜


 【山行リスト】
 所用の合間に〜古城山(川田古城址)  秋晴れの下、爽快な稜線漫歩〜滝山連峰・御鷹山
 天候不順の中〜今年2度目の聖山  快晴の下、聖地に相応しい大展望〜身延山
 新雪の山上からの大展望〜鉢伏山と高ボッチ山  善光寺平の俯瞰が最高〜長野市の太郎山
 雨後の訪問〜中条村の松原城址  2007年最後の里山巡り@〜長野市湧池の虚空蔵山
 2007年最後の里山巡りA〜長野市信更町の鶉ケ岳


 所用の合間に〜古城山(川田古城址)
 11/14、この日は平日だが所用のため休暇、午前から午後にかけて子供のインフルエンザ予防接種の付き添い等で駆け回っていたが、午後3時半近くになって少し時間が空いた。それで、例によって私の腹の虫がうずき出し… 折しも良い天候の下ゆえ、ちょっと近所の里山にでも行ってみようと思い立つ。ただ、午後5時半頃からはまた別の所用があるため、自宅から出掛けて戻るまで2時間しかなく、その時間の範囲内で行って来れそうな所として、長野市内若穂川田の古城山(川田古城址)をにわかに目的地に選定、私一人で可及的速やかに自宅を発。
 この山、実は長野市内の大室温泉「まきばの湯」のすぐ上にある山で、私は以前からその存在だけは認識していたが、案外これまで訪問の機会がなかったところ。しかし登り口にあたる「まきばの湯」には何度となく訪れたことがあり、勝手は知っているので、後で一風呂浴びるつもりで同温泉の駐車場の片隅をちょっと借用し、そこから徒歩で作業道のような広い道を長野市街地の俯瞰を楽しみつつ上がっていくと、そのうち道はやや平坦な山稜上に出て、じきに右に巻き気味に続いていた。そこで広い道から離れ、左手の山稜伝いに踏跡をたどると、やがて山城址らしく明瞭な空堀の遺構をいくつか経て、主郭址らしい小広い平地へ。そこには「No.15 基本 菱形基線測点 建設省国土地理院」と刻まれたプレートのある標柱が丈の低い笹の中にひっそりと埋設されていた。そして三角点のある頂上は主郭址の背後のきわめて深い堀切を乗り越えた先にあったが、既に周囲は薄暗く、長居もできずに元来た道を「まきばの湯」まで引き返したが、一風呂浴びていくほどの時間は残念ながら既になかった。







 秋晴れの下、爽快な稜線漫歩〜滝山連峰・御鷹山
 今年もふと気が付くと、いつの間にか11月も下旬に近く、朝晩はめっきり冷えるようになった。11/17の朝も同様だったが、外を見ると雲ひとつない秋晴れの空。そこで、これは今日しかない、本格的な雪の到来前に是非一度! と思い、今日一日、私単独での山行を決意。
 かくて慌しく一人で家を飛び出した、私の今日の目的地は、滝山連峰の「御鷹山」。この山、今年の4/15に家族連れで訪れた「滝山」より、さらに1時間ほど稜線をたどった先にある山だが、4/15には幼少の子連れで無理できなかったため、滝山までで引き返してしまっており、以来ずっと気になっていたところだ。今日こそは、そんな食い足りない思いを解消すべく… まずは4/15と同様のルートで石祠3基のある「滝山」へ。
 それから先が私にとって未知のルート。が、道はかなり明瞭で歩き易く、標高の割に空気が冷たい点を除けば、至極爽快な陽だまり稜線漫歩。「三ツ頭」の第3ピークを過ぎ、鞍部から登り返して少し進んだ峰に「御鷹山山頂 1,623m」の標識あり。確かにそこは「御鷹山」の一部をなす峰のようだが、しかし地形図上で見る限り、厳密には真の頂上はこの先の峰のはずだと思い、さらに歩を進めると、案の定、石祠1基のある峰に出たが、明らかに先刻の標識の峰より高い。間違いなくそこが真の頂上と確認し、これで今日の目的は果たせたわいと、ほっと胸を撫で下ろす。
 念のため、さらに南のピークまで足を延ばし、その先に昨年訪れた入山方面の山稜を確認した上で、元来た道を引き返す。と… 御鷹山頂上手前でふと響く不穏なざわめき、はっとしてその方を見ると、4〜5頭の猪が10mほど先の稜線を突っ切り、右手に慌てて駆け下りていくところ(!)。思わずヒヤリとして腰に提げた熊鈴に手をやりつつ… 私はこの山域の豊かな自然と静けさを、今更ながら実感した次第。







 天候不順の中〜今年2度目の聖山
 11/18は、昨日の好天から一転して、時折雨も舞うような不順な天候。おまけに空気も妙に寒冷で、どうにもコンディションが悪すぎる。こんな日は、どうせまともな山歩きなど望み得ないので、当初は家族と共に温泉などを回りながらドライブしていたが、そのうち空模様が少々明るくなったので、たまたま麻績村の聖高原あたりがドライブ経路にあたっていたのを幸い、折角だからと聖山に車で駆け上がってみた。
 この山、私と家族にとっては、今年は7/1に次いで2度目の訪問になるのだが… なにしろ車道がほとんど頂上まで通じている山ゆえ、今回のように時間的に中途半端で、かつ幼少の子供達を同伴しているような場合には、至極手軽な自然散策に実に好適な山だ。また、前回は夏場の訪問であったが、今回は初冬、情景的にも前回とは全く雰囲気が異なっているので、たとえ今年2度目でも、案外マンネリといった感じはしない。
 頂上直下に車を乗りつけ、一気に頂上に駆け上がる。と… さすがに天候不順の下、展望はあまり良くない。それでも当初予想したよりは明るい雰囲気に、しばし家族と共にリース作りや山葡萄の残り房探しに興じていると、いつしか我々の周囲にはちらちらと舞う白いもの… 今冬初見参の雪に、私は今年もはや残り少ないことを、にわかに身にしみて感じた。果たしてこれから年末まで、後いくつ山に訪れられるだろう…?






 快晴の下、聖地に相応しい大展望〜身延山
 11/23〜25の3連休は、本来なら絶好の山行の機会とすべきところ、いずれの日にも所用があり、特に24〜25日にかけては神奈川、静岡方面に出掛けなければならず、当初は到底山どころではあるまいと私は半ば諦めかけていた。が… そんな中でも、注意していれば適当にチャンスはあるもので、25日、静岡からの帰路に国道52号線を選択したことから、たまたまその道の途中にあって、ロープウェーを利用すれば楽に訪問可能な身延山への訪問を同行者に提案、幸い相手もその気になってくれたので、思いがけず十数年ぶりにこの山に訪問できることに。
 もっとも、今回の訪問は、十数年前ほどには楽にというわけにはいかず… 現地の最上部の駐車場が案外混雑していたため、日蓮宗の総本山・久遠寺の大三門脇の駐車場所から歩き出すこととなり、結果としてあの音に聞こえた久遠寺の「菩提梯」なる287段の長大な石段を登り切らざるを得ない羽目となった(!)。おかげで石段の中ほどから始まった発汗が、久遠寺の大本堂前に一礼した後、ロープウェーの駅に着く頃まで延々とひかずに閉口したが、それでも、まがりなりにも「山」となれば、あまり楽をし過ぎても有難味がないというもの。
 そして… ようやくロープウェーに乗って「思親閣」のある頂上付近に上がった我々の周囲に拡がったのは、文字通り雲ひとつない快晴の空の下、富士山をはじめ南アルプス、八ヶ岳、茅ケ岳等、この近辺のおもだった山々などの雄大な展望! まさに聖地に相応しいそれらの眺めを前に、私は、たとえ短時間の楽な山でも、やはり訪れれば訪れただけのことはあるなと、今日この場に立ち得た我が身の幸運を想った。







 新雪の山上からの大展望〜鉢伏山と高ボッチ山
 12/2、外を見るとまずまずの晴天に、例によって家族での軽い山歩きを企画。それも、去る11/18の聖山が天候不順の下だっただけに、今回は是非、スカッとした大展望を楽しみたく… 松本平の東に聳える明るい峰々、鉢伏山と高ボッチ山への訪問を思いつく。
 これらの山々、いずれも頂上近くまで車道が通じており、「山」としてはきわめて手軽ながら、それだけに今回のような幼少の家族連れの場合などには、きわめて安全で得難い山域だ。特にその明るい山上から得られる周囲の大展望たるや、西に大きく立ちはだかる北アルプスの屏風のごとき連嶺をはじめ、鉢盛山、中央アルプス、南アルプス、南八ヶ岳連峰、北八ヶ岳連峰、霧ケ峰、美ヶ原、浅間山… といった具合! 多少観光地化していようとも、少なくとも展望面で、これだけの魅力を有する山域はそうはなく、人混み避けに多少シーズンを外して訪れる等の工夫さえすれば、まだまだ「山」としての魅力十分の山域といえる。特に今回の場合、多少積雪があったせいか、比較的静寂な雰囲気だったのが幸い。
 まずは高ボッチ山に訪れ、前述のような山々や、また眼下の諏訪湖などの眺めを楽しんでいるうち、ふと遠く雲海上に浮かぶ富士山の秀麗な姿を目にして家族一同歓声。が… さすがに風は冷たく、幼少の子連れではさほど長居できずに、ほどなくして一旦車に戻る。
 その後、「鉢伏山荘」前まで車で乗りつけ、長男のみ伴って鉢伏山頂を目指したが… 風は先刻にもまして寒く、長男は結局途中でリタイア。やむなく一旦長男を家族の待つ駐車場まで連れ戻った後、再度私のみにて頂上を往復。ただでさえ遮るものが少なく明るい山上は、新雪が陽光を反射してなお一層明るく… 私は、比較的短時間の山ながら、当初の狙い通りスカッと晴れた気分と共に家路につくことができた。







 善光寺平の俯瞰が最高〜長野市の太郎山
 12/9、日曜日の午後、長野市内の若穂にある「太郎山」に訪問。この日は午前中が家庭の所用でつぶれ(もっとも天候自体も悪かった)、折角の週末ながら前日の土曜日に引き続き、山はダメかと半ば諦めていたが… 午後2時頃になったら、ふと空の雲間から漏れ始めた陽光! したり、この機会を逃せば、また一週間待たねばならぬ、と思ったなり、にわかに家族の同意を得て、一人で慌しく家を飛び出す。
 もっとも時間が時間、おまけに陽が短い時季ゆえ、あまり遠方や長時間の山に行くわけにもいかず… とにかく車を走らせながら、近所の山で、まだ今年訪れていない山… と思いを巡らせているうち、長野市若穂の「太郎山」を思いつく。この山なら「馬背峠」から行けば大して時間も要さず登頂可能だったはずだ。と、思いつくままに、速やかに車をその方向に走らせる。
 峠からは、防寒着を着込んで、早速登り出したが… しばし行くと、次第に周囲の情景が、うっすらと積もった新雪に彩られていく。どうも午前中までに少し降った雨が、このあたりでは雪であったらしい。いつの間にか、こんな里の近くまで雪が積もるような季節になっていたのだと、今更ながら実感しつつ、頂上直下の急登を乗り越え、後は丈の低い笹に覆われた緩斜面をわずかで頂上着。と… たちまち開けた素晴らしい展望!
 多少曇り加減の空模様の下ながら、それは十分見応えある眺め。何をおいても、まずは善光寺平の俯瞰が最高! 特にその中を緩く蛇行しつつ流れる千曲川の紺碧の水面。またその背景をなす飯縄山の優美な山容… そこは私にとっては2度目の頂上だったが、それら眺めの良さは全く変わっておらず。にわか思いつきの山とはいえ、やはり来てよかったと、私は結構な充実感と共に額の汗を拭った。







 雨後の訪問〜中条村の松原城址
 12/22〜24の3連休は、本来なら絶好の山行の機会とすべきところ、例によってそうならないのが最近の私の身辺事情。22日、23日共に野暮用でつぶれ、残る24日も午前中は天候不順ときて、これはいよいよ二週連続で「山」なしかと半ば諦めかけた。が… 午後2時頃になったら、ふと空の雲間から漏れ始めた陽光! どうせ天候不順なら、一日中続けばいいものを、どうも最近、こういう中途半端な巡り会わせが多すぎる。とはいえ、この機を無駄にするつもりもなく、家族の同意を得て、にわかに一人で家を飛び出す。
 そして、半ば成り行き任せで車を走らせつつ… ふと思いついたのが、長野市の西、中条村にある「松原城址」。南原公平氏著『信州の城と古戦場』(令文社刊)によれば、この城、別名を「若神子城」といい、永禄年間に越後の上杉氏の隷下であった春日氏の築城とのことだが、特段華々しい実戦の記録がみられるわけでもなく、比較的地味な存在であることが、私にとってここへの訪問が遅れた主因であった。
 国道19号を松本方面に向かい、「笹平トンネル」の手前で左に折れて中条村方面へ。しばし走り「中条隧道」の脇から「城の平」方面への道を行くと、じき「天明山中騒動集合の地」を経て城址の入口へ。付近に駐車し、早速雨で湿った落葉の山中に踏み込むと、すぐに眼前には顕著な郭や空堀、切岸の遺構が出現。主郭とおぼしき平地には5分ほどですぐ到着したが、例によって標識一つない、樹林の中の地味な場所だった。






 2007年最後の里山巡り@〜長野市湧池の虚空蔵山
 2007年もいつの間にか終わりに近づいた、仕事納めの翌日の12/29。この日はどうも天候が今ひとつのようだったが、午前10時頃に外を見れば、何とか雨が止んでいる様子。天気予報によれば、年末年始は大雪の恐れがあるとか言っているし、12/30以降はおそらく多忙で山に行っている暇などなさそうだから、今年最後の山への訪問をするなら今日しかない、と思い立ち、ちょっと行ってくるよと一人で家を飛び出す。
 この日の当面の目的地は、長野市信更町の「虚空蔵山」。同名の山が同じ信更町の高野にあるので紛らわしいが、今回訪問する方は「湧池」という池の上にあるもので、以前、地学団体研究会長野支部「長野の大地」編集委員会編『長野の大地 見どころ100選』(ほおずき書房刊)の中に、1847年(弘化4年)の善光寺地震の際、この山の崩壊により「湧池」が出現したという記事を見出して以来、参考までに一度訪れてみたいと思っていたところ。もっとも、一見地味そうな山ゆえ、登るにはどうせ薮漕ぎになるだろうと半ば覚悟して出掛けたものであった。が…
 いざフタをあけてみたら、何とほとんど頂上まで車で上がれてしまった(!)。というのも、頂上周辺一帯は「マレットゴルフ場」になっており、車道のすぐ脇に頂上の標柱があったばかりか、その奥の三角点地点も、マレットゴルフのコースの一部と化していたからだ。
 かくて、薮漕ぎどころか、ものの1分すら歩かぬうちに三角点標石に触れ… 私は、これで2007年の我が山行の最後の締めとするには、いささか物足りないなという思いと共に、時折周囲に漂う霧に湿った頭をなでつつ、次なる目的地を考えていた。






 2007年最後の里山巡りA〜長野市信更町の鶉ケ岳
 先の虚空蔵山への訪問後、私は近くにある茶臼山にでも訪れてみようかと思いつつ、車に乗り込んだ。が… しばらく走ると、何と、また霧のような雨がフロントガラスに散り始めた。私は、したり、これじゃ薮のある山だと、ただ湿りに行くようなものだ、どこか濡れずに済みそうな山はないか… と思案を巡らせているうち、ふと、近くに「駒ケ岳」(注)という名の山があることを思いつく。
 もっとも、名前だけ聞けば立派そうながら、実はこの山「川中島CC」の中に頂上がある山。したがって、長野市近辺でゴルフをやる者なら、おそらくいとも簡単にこの山の頂上を踏んでいるのだろうが… 生憎私はゴルフはやらないので、訪れようとするなら、ボールが飛来する恐れのないシーズンオフ以外、考えられないので、その点、今日は正にうってつけの訪問機会。「山」として物足りないのは先刻の虚空蔵山同様だが、この分だと、どのみち今日は遅かれ早かれまた降り出すだろうし、それならそれでともう割り切り、参考ついでに訪れてみようと決す。
 で… 早速「川中島CC」の駐車場に乗りつけると、意外にも駐車場の脇に「うずら石」なるものが祀られている一角あり。見てみると、何らかのいわれのあるもののようながら、残念ながら解説板の類がないので、「川中島CC」の事務所の方に行って尋ねてみたが、やはりよく判らないという。やむなくこの件は後で調べることとし、場内への立ち入り許可を得て、しばし広大な頂上周辺を歩き回ったが、地形図上表示のある三角点の標石は見当たらず、また頂上の標識があるでもなく… ただゲストハウスの付近が最高点であることが判った程度であった。
 
(注:訪問時点では、以前参照した某書付属の地形図等により、そういう名の山と思っていたが、帰宅後に『長野縣町村誌 北信篇』の「有旅村」の項等を参照した結果、「鶉(うずら)ケ岳」が正しいと思われるため、本項の表題等は全てこれに改めた。)