山行記録帳(2004)@
〜Yamazaki's Photo Diary 2004,@〜


 【山行リスト】
 2004年元旦、初登り〜冠着山  3月中旬 西上州 西御荷鉾山
 3月下旬 麻績村の青柳城址にて  平尾富士  権現山に寄り道  太郎山  六甲山
 四国・剣山  小浅間山  角間山  一夜山  南佐久の高登谷山  浦倉山ほか
 「望月少年自然の家」にて  秋田駒ケ岳  猫魔ケ岳  志賀山周辺散策  箱根山駒ケ岳訪問
 一沼・旭山散策  夜の冠着山  虫倉山  保基谷岳


 2004年元旦、初登り〜冠着山
 1/1、昨年に引き続き、新年初登山にこの山を訪問。
 お昼頃、自宅を発、15時頃登頂。
 頂上手前から、陽光に照らされて間断なく樹枝から落下する樹氷の洗礼を受ける。足元を見ると、降り敷いた樹氷の堆積が、繊細な輝きを見せて美しい。
 登頂し、まずは頂上の神社に初詣を兼ねて参拝、それからしばし付近を歩き回り、周囲の展望を楽しむ。
 今年は、残念ながら昨年のように北アルプスの展望は得られず。その代わり、善光寺平方面の俯瞰は周囲の樹氷が鮮やかなせいか、昨年よりもクリヤーな感じ。
 やがて、西方の山際に陽が落ちていった… それを見届け、下山。






 3月中旬 西上州 西御荷鉾山
 このところの職場の多忙で体調優れず、この日も下痢気味なのを、山(森林)の癒し効果に期待して、雪の少ない西上州のこの山に、家族と共に訪れてみた。
 冷や汗を流しつつも、ともかくも明るい頂上に達して、まずは不動明王の石像に一礼。次いで周囲を見回す。と… 遠く浅間山の優美な姿が…
 そのうち、また腹の調子がおかしくなり、早々に下山したが、狙い通り、多少癒された(ような気がした)山での一時だった。






 3月下旬 麻績村の青柳城址にて
 戦国時代、数少ない実戦場として知られるこの「城山」に、例によって家族と共に散歩気分で訪れてみた。
 駐車場から、いくつか空堀を突っ切りながら進む。途中、威勢良く飛んで行った長男が、勢い余って転んで大泣きするなどのハプニングを経つつ、本丸址へ。と、そこからは、眼前に北アルプスの屏風のごとき連嶺が… すぐ近くの聖山もそうだが、このあたりからの北アルプスの眺めは素晴らしい。
 短時間ながら大パノラマを心ゆくまで堪能できた、良き「癒し」の機会だった。






 平尾富士
 例によって家族登山に適当そうな山として訪問。
 私と女房にとっては2度目の山、当初は、子供達と一緒に軽い運動と心身の「癒し」ができればいいや… と、大して期待もせずに登りだした。ところが…
 ふと、足元を見ると… 何と、周囲の林床はアズマイチゲの群落!
 しかも、最後の急登を乗り越え達した頂上からは、今度は浅間山の優美な姿が… 時期を選べば何度でも訪れてみたい、隠れたる好峰だと再認識。また、来年も家族同伴で訪れてみよう。






 権現山に寄り道
 4月中旬、美麻村から権現山に訪問。
 たまたま、家族で美麻村の蕎麦屋に昼食に訪れたついでに、少々時間をもらって林道に車を走らせたが、残雪が思いの他多く、家族は車に待たせておき、自分一人で頂上目指して突撃。
 一気に駆け上がり、荒い息をしずめてから西を見る。と、そこには狙い通り北アルプスの連嶺が… もっとも頂上は潅木が支障になるため、若干下の広場に舞い戻って改めてしばし眺める。
 やや霞がかかったとはいえ、鹿島槍をはじめとする後立山連峰の面々の眺めが雄大だった。






 太郎山
 4月下旬、上田市の太郎山に家族と共に訪問。
 最近では大部分が家族登山となってしまい、こんな里山への訪問が中心となっているが、それでも子供がゲームなどに熱中して外に出ないよりは健康的だし、何より自分自身の心身の癒しにもなるので、懲りずに続けている。
 この山では、何といっても頂上の素朴なお地蔵様がいい。何度見てもフレッシュな印象の不思議なお地蔵様。と… 何を思ったか我が長女(1才半)が隣にちょこんと座って御機嫌(?)






 六甲山
 5月下旬、四国への旅の途中、大阪府の六甲山に立ち寄っていく。
 ふつうは神戸の夜景を見に上がる山として知られているが、こちらは例によって家族同伴で真っ昼間に上がった。
 頂上は、想像よりも自然をよく残した、憩いの山といった感じ。登山者もこれまた想像以上に多く、この地方では貴重なトレッキングの山のようだ。
 以前、インターネット博覧会の長野県館「山のおくりもの」で企画した山の人気投票で、この山が第1位に選ばれていたが、その理由が何となくわかったような気がした。






 四国・剣山
 5/23、四国の剣山に家族と共に訪問。
 「剣山」という名前から、知らないと険しい山というイメージを抱いてしまうが、実は山名の由来は、安徳天皇の神剣が頂上近くの「宝蔵石」の下に埋めたという伝説からきているとのことで、実際には登山リフトもあり、子供でも安全に登山が可能な山。
 四国の山地は、意外にも長野あたりで想像するより、ずっと深い山というイメージが濃いが、それでも頂上近くまで行けば、一転して笹原の明るい雰囲気に。周囲にはあいにく多少の雲がまとわりつき、さほど素晴らしい展望とはいかなかったが、私としては初めて接する四国の山の、また長野あたりの山とはどこか異なった雰囲気を、時間の許す限り、思うがままに堪能した。






 小浅間山
 5月下旬、またしても家族同伴で、小浅間山に訪問。
 浅間山の脇に小さく盛り上がるこの山もまた、のんびりした家族登山には好適な地。
 特に位置的に、当然眼前に大きく迫る浅間山の秀麗な姿が圧巻で、短時間の山ながら、何度訪れても良い。そのせいか、私は今回で3度目、女房は2度目の訪問になる。
 しかも、今回の場合、ちょうど時期がうまく合い、最近あまり見かけないチゴユリはじめ、いくつかの山の花々を目にすることができた。
 (筆者注:実はこの山、浅間山の火山活動がしばらく活発だったことから、5月下旬現在では登山規制がかかっていたのだとか(!)。6月初めに規制解除された旨の新聞報道があり、初めて知った。行くと登山口のボックスに必ず置いてあるはずの登山届の用紙が1枚もなかったので、妙だとは思ったが… それでチゴユリとか残っていたのだろうか? いずれにせよ、行ってしまったものは仕方ない。何事もなくてよかった…)






 角間山
 6/5、鹿沢温泉郷に近い、角間山に訪問。
 この山の近くの烏帽子岳や湯ノ丸山、桟敷山や村上山には既に訪れているが、なぜかこの山のみ今まで訪問の機会なく、今回ようやくその頂に立つことができた。
 今回は、最近としては珍しく、私一人での山行。
 隣の湯ノ丸山の山麓あたりはレンゲツツジの名所で、今日あたりは混雑するかと半ば覚悟して行ったのだが、幸か不幸か、まだ若干時期が早く、わずかに咲いているのを見つけることができた程度。
 湯ノ丸山との鞍部から、右に少々山稜をたどると頂上。と、そこからの展望は抜群。間近の烏帽子や湯ノ丸はじめ、籠ノ登、浅間、四阿山など… こんな素晴らしい山だと、それまで自分が知らなかったことに、若干の悔しさを覚えてしまう… 山菜採り以外にはさして人気もなく、これぞまさしく隠れたる好峰だと、一人満足感を覚えつつ、下山。






 一夜山
 6/20、戸隠連峰の南の末端の一夜山に訪問。
 台風接近の影響によるフェーン現象で、街中はまるで温室。避暑を兼ね、家族と共に家を飛び出し、登山口へ。
 今回の場合、標高1,500m程度では、今一つ、スカッと涼しいという訳にはいかなかったが、それでも下界と比べたら雲泥の差。
 相変わらず展望のよい頂上。ことに私にとって印象的に鮮烈なのは、普段あまり間近に目にすることのない秘峰・東山を大きく望めること。険しい山稜の有様に、以前そこに登頂した際の苦労の記憶が脳裡によみがえる。
 また、季節的に、アサギマダラなど蝶の乱舞がみられたのも嬉しかった。もっとも、まともに写真のモデルになってくれたのは、キアゲハだけだったが…
 子供たちも大分山の歩き方が板についてきたよう。今日の山も含め、これまでは片道1時間程度で安全な所を選定してきたが、今後、少しずつ歩行時間を伸ばしてみよう… などと思いつつ、下山。






 南佐久の高登谷山
 7/4、南佐久郡川上村の高登谷山に家族と共に訪問。
 この山の近辺の女山とか横尾山には既に訪れているが、この山はなぜか今日まで見落としており、今回が初の訪問。
 適度に涼しい林間の道を登ること約1時間半で、カラマツなどの疎林に囲まれた明るい草付きの頂上。三角点付近に家族を休ませておき、東に尾根をたどると、じきに展望の良い露岩上に出たが、そこからは、奥秩父連峰の瑞牆山の特異な岩峰が間近に!
 三角点まで戻り、しばし休憩。その間、我が長女は何を考えているのか、一人で草の中にたたずんでいたが… ふと見ると、何やら妙に大人びた雰囲気で、思わずギクリとした(!)。こんな調子で、もう10年ほどもすれば、はや親を親とも思わなくなるのであろうか…?






 浦倉山ほか
 7/18、たまたま長男が、「ゴンドラに乗りたい」とか言い出したのを機に、最近四阿山への最短登頂手段として注目されている「パルコール嬬恋」のゴンドラリフトを利用して、まずは浦倉山へ。四阿山に比べれば、さほど有名でもない山のこと、さぞかし静寂な頂上であろうと思いきや… 意外、何とそこは埼玉県のボーイスカウトに占領されており、とてもゆっくり憩うような状況ではなし。もっとも、天候曇で展望もなかったし、やむなく早々に引き返すハメに。
 その後、中之条町あたりまでドライブして食事したのをきっかけに、先刻の埋め合わせにと、すぐ近くにある榛名山へにわかに訪問。榛名湖畔を巡り、ロープウェイ利用で榛名富士へ。今度は展望もよく、榛名湖の一角の俯瞰など展望を楽しみ、頂上の神社に参拝して下山。
 一日にして、ゴンドラリフトとロープウェイに乗れ、長男は御満悦だったが… 親の私は「山登り」としては、どうしても物足りなさを禁じ得ず。もっとも、この3連休は残念ながら天候不順だったし… まあ、幼少の子供を抱えた身では、せいぜいこんなものかも知れない… いずれにせよ、行かないよりは少々マシだろう。






 「望月少年自然の家」にて
 7月下旬、たまたま所用で、望月町の蓼科山麓「望月少年自然の家」に訪れる機会があった。
 訪問中は別段「登山」という活動があったわけではなかったのだが、「家」周辺の自然は素晴らしく、中でも所用の片手間に目についた動植物の多彩さには特筆すべきものがあったので、折角だから、ここにその一部を掲載紹介する次第。
 こんな、優れた自然環境の下に立地する研修施設があることは、長野県にとっても、また日本にとっても、大変嬉しいことだと思う。






 秋田駒ケ岳
 8/5、東北の名山のひとつ秋田駒ケ岳に訪問。ここ数年来、私にはすっかり恒例となってしまった、夏の東北地方の山岳探訪だが、今年は家族同伴でも安全で無理のない適当な山として、この山を選定。
 田沢湖高原温泉付近の駐車場から、バスで八合目登山口まで。それから徒歩で、まずは「阿弥陀池」を目指して歩き始めたが、一歩登山道に踏み込んだとたん、目につく数知れぬ高山植物の花々! ハクサンシャジン、コウメバチソウ、ハクサントリカブト、エゾシオガマ、ミヤマリンドウ、ウサギギク、チングルマ…etc さらに進むにしたがい、眼下には田沢湖、北方には八幡平のアスピーテを望み… やがて到着した阿弥陀池畔は、周囲を男岳や女目岳に囲まれた、まさに山上の楽園といった雰囲気。
 良く整備された道をたどり、最高点の女目岳に登頂。そこからは、全く遮るものもない360度の大展望! 間近に望む烏帽子岳(乳頭山)、また昨年登頂した岩手山の、ひときわ目立つ雄姿など…
 この山、夏場の特に土日は登山者が数珠繋ぎになるそうだが、その訳を十分納得して下山。






 猫魔ケ岳
 8/7、東北の旅からの帰途、帰りがけの駄賃として、会津磐梯山の隣にある猫魔ケ岳に訪問。この山、私には、以前磐梯山に登った時からずっと、その何かいわくありげな山名に惹かれ、是非一度訪問してみたいと思っていたもので… 今回、ようやくその想いを達し得た。
 「磐梯ゴールドライン」の「八方台」駐車場から、例によって家族と共に登り始めたが、進むにしたがい空がかき曇り、にわか雨の来そうな雰囲気となったため、女房子供は中間地点あたりで引き返させ、私一人で頂上を往復。
 途中、猪苗代湖や磐梯山方面の展望がかろうじて得られたが、頂上到着時には既に周囲は白雲に覆われ展望なし。遠雷も響きだしたので、長居せず、直ちに引き返す。
 なお、山名から想像される猫の姿は全く目につかなかったが、その代わり、おびただしい数の蚊の襲来を受け…(往復で少なくとも40〜50匹は叩き落した)、挙句の果てには帰る途中でついに雨が降り出し、ほうほうの体で車に逃げ戻った。私の血は、やはり美味いのだろうか?






 志賀山周辺散策
 8/13、家族で志賀高原の志賀山周辺「池巡りコース」に訪問。前山湿原〜渋池〜志賀山〜裏志賀山〜四十八池湿原〜渋池〜前山湿原、と周回するこのコース、実は私のお気に入りのコースで、この数年毎年訪れており、昨年も家族で訪問している。しかし、昨年の場合、まだ子供が幼少に過ぎたせいもあり、女房と子供は志賀山への登りで挫折し、私が裏志賀山を回っていく間、四十八池に回って待っていたので、家族全員でフルに走破したのは今回が初めてとなる。それも、一番下の長女(1歳)を除く長男(4歳)と次男(3歳)は、休憩込みで約4時間余の全行程を自らの足で歩き切ったのだ! 天候も良好だったとはいえ、よくぞここまで成長してくれたものよ…
 それにしても、このコース、何度訪れても良い変化あふれるコース。ことに行くみちみち現れる神秘的な池塘群がよい。渋池、お釜池、鬼の相撲場池、志賀の小池… と見つつ、裏志賀山で大沼池を眼下に見下ろすところが本コースのクライマックス。そして、その余韻さめやらぬうちに四十八池湿原の長閑な情景の中を通過… コース自体が、かくも変化にあふれる上に、そこに訪問時季による変化が加われば、その変化の組み合わせたるや、数知れまい。おそらく、今後も私は、四季折々、年に一度はここの訪問を必ず続けていくことになるだろう…






 箱根山駒ケ岳訪問
 8/28、箱根山に訪問すべく、家族と共に早発ちして「箱根園」へ。折しも台風16号接近中で、天気予報では曇時々雨とのことだったが、8月も終り近く、今年の夏もあとわずかとの思いから、あえて訪問を企てたものだが、いざ現着してみれば、周囲はやはり霧雨具合。せめて駒ケ岳頂上の神社にだけは参拝したく、家族に同行者を募ったところ、3歳の次男が手を上げたのみ。そこで、女房はじめ他の者は箱根園で遊んでいてもらい、私と次男だけがポンチョを着込んでロープウェーの客に。
 そんな天候ゆえか、ロープウェーは私と次男の貸切状態。頂上駅から一歩外に出ると、霧雨に比較的強い風も加わって、最悪のコンディション。ハテ、今日は子供同伴、行こうかどうしようか、と次男を見ると、案外、彼はそんな風雨の中でも私を見て、にこにこ笑っている。うん、これなら大丈夫か、と意を決して神社まで歩く。
 ほんの10分ほどで「箱根神社元宮」に到着。ポンチョを取って社殿内に入り、型通り二礼二拍手一拝で参拝していると、奥から大貫宮司さんが現れた。実は私は彼とは数年前に訪れた時からの知り合い。しばし談笑の後、彼と別れて元来た道をロープウェー山頂駅へと戻った。






 一沼・旭山散策
 8/29、相変わらず台風16号接近中で今一つはっきりしない天候の下、せめて山の雰囲気だけでも… とて家族と共に何となく志賀高原にドライブ、「一沼」付近を散策。折しも沼の水面にはヒツジグサの白く可憐な花々が点在し、しばし、その美しい景観に目を奪われつつ過ごす。そんな中、オオルリボシヤンマらしきトンボが周囲に飛翔し、せっせと産卵している様子がほほえましかった。
   その後、現地の標識に「旭山」800mとあるのを見出し、近いので折角だからと訪問。ほんの20〜30分程度で達した頂上には、意外や「秩父宮様御夫妻・高松宮様 来山記念碑」なるものあり、「昭和4年8月6日秩父宮様御夫妻は、新婚旅行もかねて高松宮様と旭山に来山し記念植樹をされ、翌日に岩菅登山が行われたことにより志賀高原の名を全国に広く紹介するきっかけとなりました。」という紹介文と共に、秩父宮雍仁殿下・勢津子様御夫妻と高松宮宣仁殿下の現地訪問当時の写真が紹介されていたので驚いた。私は昭和4年に秩父宮殿下が岩菅山に登られたことは知っていたが、その前日に旭山に記念植樹をされていたことや、そも旭山という「山」自体、実はそれまで知らなかった! かくも山岳史上に重要な地点であるにもかかわらず… 自らの不勉強を、身にしみて覚えざるを得なかった次第。
 なお、話は変わって… まだ1歳数ヶ月の我が長女は、7月の高登谷山の時といい、今回といい、山の中だと、やけに大人びて見えるのが妙。それは、およそ年齢に似つかわしくない場所にいるがゆえの目の錯覚なのか、はたまた単に「親馬鹿」のなせる業なのだろうか…?






 夜の冠着山
 9/9、何故か、にわかに、どこかの山から夜景を眺めてみたくなり、たまたま早く仕事がひけたのを機に、勝手知ったる冠着山に駆けつける。職場から直に訪れたので、当然私一人のみ。この山、距離的に近いこともあって、私は他に行く山がない場合などによく訪問しており、今年は元旦以来の訪問となるが、夜間に登ったのは、案外今回が初めて。同じ山でも、昼間と夜間とでは印象が大分違う。いつもなら長閑な情景をなす頂上付近の素朴な石祠も、今日はひっそりと暗闇の下に沈んでいる。色彩に乏しい行程の中、ふと足元に目についた野菊の花は、よくそこらで見かけるありふれたものながら、妙に鮮烈なインパクトをもって私の目に映じた。
 頂上からは、狙い通りに善光寺平の街の夜景が見下ろせた。若干霧っぽくて、期待したほど豪勢な情景とはいかなかったが… それでも、前週末が台風やら所要やらで山に行けなかったことによる、一抹の気分のもやもやを発散するには、それで全く十分な光景だった。






 虫倉山
 9/11、中条村の虫倉山に訪問。この山、距離的に近い山の割に、私としては昭和63年に一度登ったきり、案外再訪の機会なく、今回が実に十数年ぶりの訪問となる。なお、今回は結構スリルのある鎖場や、やせ尾根の通過を伴うとあって、家族は伴わず、私一人での山行。
 近くて比較的手軽な山ゆえ、午後に自宅発、登行開始は既に15時近く。岩井堂林道からの登山道入口は、訪問者が少ないせいか草ぼうぼう。一歩踏み出した途端、草の下に隠れて見えなかった側溝に左足を落とし、向う脛を角に打ち付け脂汗、それでも「旧岩井堂峠」に向けて登って行ったら、今度は足元に太いマムシが出現(!)… と、最初のうちは災難続きで、こりゃ、止めて帰れという天の知らせか? などと思ったりもしたが、それでも「小虫倉」頂上の「大姥神社」の祠に参拝した後は、神の御加護か災難もなくなり、最後の鎖場の連続も無事通過して登頂。
 空は生憎の曇天、晴れていれば立派に見えるはずの北アルプスや戸隠連峰は、わずかにその一角を雲の切れ目に望めたのみ。ただその分、比較的間近な荒倉山の山体が妙に堂々として眼前に迫り… また夕刻に近づいた西の空からは、雲の合間から陽光が縞状に差し込み、一種神秘的な光景を描き出していた。






 保基谷岳
 9/12、午後、にわかに思い立ち、飯縄山に次ぐ長野市第2位の標高を有する保基谷岳へ、長男・次男と共に訪問。
 この日は、女房の実家で稲刈りがあり、女房が手伝いに出掛けている間、私は「子守り」(!)、これでは今日は到底山など無理だと諦めていたところ、午後3時ちょっと過ぎ、女房が案外早く帰還! 天候も良く、にわかにこの山を思いつく。家族に同行希望を募ったところ、長男と次男が手を上げ、かくて私と長男次男の3人で、直ちに家を飛び出す。
 午後4時半頃、登山口着。もっとも、この山、ゆっくり歩いても30分ほどで登頂可能の山。頂上直下の急登は多少子供たちには厳しかったようながら、午後5時頃、無事登頂。まずは石祠に参拝し、心地好い汗を拭いつつ、長野市方面をノンビリ俯瞰。マツムシソウなどの咲く、すっかり秋の気配も濃い頂上で子供たちと憩いつつ、ふと脇の岩上を見やると、赤蜻蛉が1匹、まるで季節の遷り変りに抗うかのごとく、夕刻の陽射しに身を任せている様子がいじらしかった。